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サワムラ×イチドウ vol.8 「本音と建前」
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[サワムラ]:………とまあ、沈黙はこのくらいにして、だ。そろそろ本音を語り合おうじゃありませんか。
[イチドウ]:いやあ、それはあれだよ。沈黙の裏を取ってもらわないとさ。
[サワムラ]:いいねえ。沈黙の裏。暗黙の了解。秘められたメッセージ。秘すれば花。言わぬが花。言うばっかりがコミュニケーションじゃないぜ、ってなノリですかね?
[イチドウ]:そうだな。でもさあ。俺、本音と建前、嫌いなんだよねー。
[サワムラ]:そうかあ?俺は好きだぞ。なんで嫌いなの?
[イチドウ]:なんかこれも本来の意味からかけ離れて使われてると思うんだけどさ、人前ではいい顔をして裏で酷いことを言う、みたいな感じに見えちゃってさ。そういう状況にいただけだと思うけど。
[サワムラ]:本来の意味って何?意味は使われていく中で構成されていくものじゃない?
[イチドウ]:少なくとも、「人前ではいい顔をして裏で酷いことを言う」ではないと思うんだけど、どう?
[サワムラ]:いや、それだって、そういう意味で使って、通じる時があれば、そういう意味でも使える、って考えていいと思うけどね。どう?結構通じるでしょ、その意味で。
[イチドウ]:通じるね。でも、俺は基本的に陰口やら噂話が嫌いなので、本音と建前という考え方も好きくないのよ。
[サワムラ]:ほう。メタ論っぽくなるんだけどさ。なんか、「本音と建前のことが、本音を言えば好きじゃない」っていう建前がすごく蔓延してると思うんだよ。だから、俺は正直になろうかな、とね。で、本音と建前は好きだ。
[イチドウ]:なるほど、メタだね。たださ、俺の場合、求めてるのが、どこまで精神的タブーをなくせるかへの挑戦だからな。本音で行かないと意味ないのよ。
[サワムラ]:ああ、意味ない、っていう感じはわかるよ。でも、それのことを「嫌い」って言うか?
[イチドウ]:そうだな。冷静に考えてみると、別に嫌いじゃないけど、明らかに嫌いだった時期もあるなあ。二十歳くらいのときに、世間の決まりきった慣習やら、常識を酷く嫌ったことがあって、その原因は裏では酷いこと言って表ではいい顔をするっていうのをよく見みてたからなんどけどさ。旅行に行ったらお土産を買って帰るとか、お中元とか、とにかく、好きでもない人に建前でそういうことをしている社会っていうのが、もう嫌でしょうがなかった。ところがさ、奥村隆司が言ってるんだけどね、旅先でお土産を買う理由は、例えば「旅行中でもあなたのことを忘れていませんでした。」と言う愛情表示であって建前でもなんでもない。で、忘れがちではあるけれど、慣習や一般常識はそういうことの積み重ねで造られているのであって、俺が嫌がっているようなことが出発点になっているわけではない。もちろんそういうことが出来る人はおのずと社会的信用も得られるだろうし、社会的に得をしていくから、そちらに目が行くのは仕方がないが、順序が逆、みたいな。
[サワムラ]:旅行中はたいがいのやつのことを俺は忘れているというのが俺の本音なんだが。
[イチドウ]:いや、でも忘れずにお土産買ってくる奴、多いよ。だからさあ、お土産もらった時にどう思うかってことになるんだけど、昔の俺はもっとひねくれてたから素直に喜べなかったのかもな。
[サワムラ]:いや、正直、もらっても素直に喜べないお土産、あるでしょ。さっきのお前の話で言えば、むしろそのお土産を俺向けに選んでしまうこと自体が、俺のことをちゃんと覚えていないっていうことを露呈してしまう、っていうかさ。うわあ。傲慢なこと言ってるなあ。
[イチドウ]:お前ねえ。いいかげんにしなさい。ま、とにかく「建前で買ってきてやったんだよ」と思うよりも、「お前のこと思い出したぜ」の方が、寂しくなくていいよ。そのくらいでいいや、これについては。
[サワムラ]:俺の事なんか思い出してないで、旅に集中しろよ、ってのもあるけどな。
[イチドウ]:それもあるな。っていうか旅先の人たちとマトモにコミュニケーション取れてるのか?と心配になったり?
[サワムラ]:まさにその通りだ。俺のことを忘れてないことをそんなに俺にアピールしたいんなら、旅になんか行くなってんだ。それじゃあ旅に失礼だろう。
[イチドウ]:いや、俺らのほうが失礼だと思うぞ。っていうかお前ねえ。
[サワムラ]:そういえば、「失礼」っていうのも、本音と建前と同じものを根底にして出来てる言葉だな。その根底にあるものさえ忘れなきゃ、多少本音と建前があったり、失礼だったりしても、いいんじゃねえかな。
[イチドウ]:俺らは根底で、失礼だけどな。
[サワムラ]:「ら」って言うなよ。
[イチドウ]:すまん。お前は、の間違い。
[サワムラ]:礼か。俺は失礼なことは確かによく言うけど、礼ってのは好きだなあ。
[イチドウ]:礼って、つっこむと何だろ?
[サワムラ]:浅はかなところでは、「お行儀よくする」「相手の機嫌を損ねない態度をとる」程度のもの。だけど、もっと深いところでは、相手へのリスペクトっていうか、うわあ、横文字で表現しなきゃいけないあたりがつらいが、そんなとこだろ。
[イチドウ]:ああ、そういわれればそうだな。リスペクトと尊敬は全然違うな。日本語の「リスペクト」っていう表現ね、俺が言ってるのは。
[サワムラ]:ああ。「尊敬」は相手との間に、なんか、埋められない決定的な溝みたいなのがある感じ。リスペクトは、もっと相手と何かをシェアしようって感じなんだよ。うわあ。また横文字だあ。
[イチドウ]:いいんじゃん?ハロルド・ブコルが日本語で「才能はシェアしなければならない言ってたしさ。
[サワムラ]:礼とか道徳とかってさ。「貴様」とか「お前」がどんどん悪い意味になってったみたいに、なんか意味がうすっぺらくなっていってる気がするよ。烏山逸男ならここで「愛」を例にあげるだろうけど。
[イチドウ]:確かに。薄っぺらくなってるというより、言葉が増えて、その分力が分散してるような気はするけど、「なんか臭いこと言ってるよ」で全てが済まされちゃってるのは嫌だなあ。
[サワムラ]:道徳教育の問題かね。なんか、「道徳教育?だっせえ。そんなもん教育するもんじゃねえだろ。」っていうのがかっこいいみたいな風潮があるけど、なんか、教育するほうがわかってねえから逃げてるだけな感じがするな。
[イチドウ]:人が人を殺してはいけないという理由を説明できないとか、子供に聞かれた時にどう説明していいのか分からない、というような話あるじゃん?あれどう思う?
[サワムラ]:これに関しては、かなり多くの有識人が、いろんなことを言ってるじゃん。いい人っぽい意見では「そういう質問をする子どもがいること自体が悲しいことだ」みたいな感じで、ちょっとひねくれた意見では「完全犯罪は非常に難しいので割にあわない」とか、そんな感じだよな。お前ならどう説明する?
[イチドウ]:そうだなあ。まずこの質問をされて、回答者が一番恐れていることは、「じゃ、人を殺してもいいんだね」と言われたときに、ダメと言えなくなること、だよなあ、たぶん。
[サワムラ]:まあ、そうだろうね。だからはじめから、「人を殺してもいいか、だめか。」という質問じゃなく、「どうして殺してはいけないか。」という問いなんだ。
[イチドウ]:話を逸らしてるんだよな。聞いてきた相手が何歳かにもよるけど、まあ、抽象的思考が出来そうだったら、理由がないことは全てやってもいいことだと思ってるのはなんで?と先ず聞いてみるかなあ。まず答えられないと思うけど、そういう質問をしてくる理由と言うのは、心のどこかで、全ての物事には「完全な理由」みたいなものがある、という希望があるからだと思うんだよ。だから、人間が決めたことなら軽んじてもいい、という拡大解釈、っていうかヤケが生まれる。
[サワムラ]:お、それはいいね。「完全な理由」を求めることはよいことだと肯定しながら、それでもなお、人間が決めたんだ、ということにしみじみする、っていう感じか。俺の答えも似たりよったりかな。「殺しちゃいけないって神様に命令された、と人間が信じつづけようとがんばっているからだよ。」って。
[イチドウ]:「完全な理由」っていうかさ、「どうして」という質問の答えは必ずある、とガキの頃に信じてなかった?今でも、あってほしいな、分からないこととか嫌だなとかさ、思わない?
[サワムラ]:俺は「完全な理由」ってのを、まあ、「神」だと思ってるわけだけど、最初は信じてて、次に信じなきゃなーって思ってて、その後に誰が信じるかバカ、っていう時期を経て、信じてみたいという気持ちは素敵なものなんじゃないだろうか、ってなところに落ち着いたなあ。
[イチドウ]:信じようとする気持ちは、確かに素敵な気がするな。どうしてだろう?
[サワムラ]:メタ論になるけど、信じようとする気持ちは素敵なものだ、って信じたいんじゃない?で、そのことも素敵だって思ってるんだよ。俺たちは。
[イチドウ]:いや、俺たちが一番素敵だと思ってるのはメタ論じゃないの?もしかして。
[サワムラ]:素敵に順列はねえよ。って俺は信じようとすることが素敵だと思ってるんだけど、まあ、それはおいといて。「完全な理由」=「神」ってのはいいの?日本人的にはかなり突っ込みどころ、っていうか、ヒクところでしょ、ここは。
[イチドウ]:俺自身は特定の宗教があるわけじゃないし、「神」という言葉を使うのには抵抗があるんだけどさ。でも、「完全なものがあって欲しい」とか「問いには必ず答えがある」、っていう希望をもってる奴は、宗教批判とかする資格はないと思うんだよ、俺は。
[サワムラ]:それが「法則」であれ、「科学」であれ、「完全」を求める奴は、同じ穴のムジナだ、ってことね。なんか、ここだけ聞くと、「だから完全を求める奴はみんな自立していないバカだ」みたいな意見にも感じられるけど、お前が言ってるのは、そういうことじゃないよなあ?
[イチドウ]:うん。俺は、殆どの人が「完全なものがあって欲しい」という希望はもってると思うんだよ。「ない」と信じているとしてもさ、希望はもってる。「完全な愛」とか、「パーフェクトな彼女」とか、あったら欲しがるでしょ、多くの人が。
[サワムラ]:そう。「信じる」ってのと、「信じようとする」ってのの差みたいなのが、微妙なんだよな。そもそも、信じるって言葉には、信じようとするっていう意味がかぶってるじゃん。だから、「信じてないけど、信じたい」とか、「信じたいけど、信じられない」とか、そういう複雑な気持ちが、この言葉だけじゃうまく表現できないんだよ。
[イチドウ]: そうだな。信じるという行為には疑うという行為が内包されているっていうことには気がつきにくいよな。
[サワムラ]: 信じるというのは疑うということを孕んでいないと成り立たない動詞なんだよ。
[イチドウ]:おお。いい台詞だな。メモしとくよ。こういうと申し訳ないんだけどさ、俺は、宗教だろうが、科学だろうが、人だろうが、盲信している人たちが気持ち悪いんだ。
[サワムラ]:お前が気持ち悪いっていってるのは、本当に盲信している人?それとも盲信しようとしている人?っていうか、盲信しようとしている人はもう、どこかに疑いみたいなのがもぐりこんじゃってるから、盲信はもう、しようにもできないのかな。
[イチドウ]:そうそう。「疑いつづける」というのは、「信じようとする」に限りなく近いんだ。信じたいから疑うんだ。信じるっていうのは、一回信じたら終わり、ではないと思う。それじゃ、意味ないよな。一回信じたらそのあとはなんでもあり、っておかしくないか?信じつづけるには「信じようとし続ける」という意志と努力が必要で、それは、疑いのある部分を見つめて信じられる部分をゆるぎないものにしていく、自分がきちんと信じられているかということを自問しつづける、ということだと思うんだ。盲信している人っていうのは一回信じて、そのあと信じる努力をしてない人だと思う。信じる努力をしない人は信じていないのと一緒だよね。
[サワムラ]:盲信する人はさ、「疑いを持つということは悪いことだ」っていう感覚があるんだろうな。でも、そういう気持ちって、俺とかの中にも多かれ少なかれ、あるなあ。コレの出所はどこだろう?
[イチドウ]:今思いついたんだけどさ、やっぱりあれじゃん?疑心暗鬼。
[サワムラ]:ああ。そういうことか。つまり、「疑う」っていう言葉は、多義語なんだ。「信じる」と共存するタイプの「疑う」と、「信じる」の反対語としての「疑う」と。で、疑心暗鬼の「疑」は二個目のほうなんだ。
[イチドウ]:なるほど。うーん。そんなに分かれてるだろうか?バランスの問題って気もするけどさ。どう?
[サワムラ]:まあ、そもそも「信じる」が微妙な概念だから、それを定規にして「疑う」を二種類に分けるのには、さすがに無理があるか。じゃあ、どうやって言えばいいかなあ。「疑いつづける努力をする」みたいな「疑う」と、「一回疑ったら終わり」みたいな「疑う」がある、っていう感じかね?
[イチドウ]:盲信に対して盲疑っていう言葉があってもいいと思わない?あ、だから疑心暗鬼なのか。見えないもんね、暗くて。
[サワムラ]:疑いをもつことが悪いっていう負い目があるのは、「一度疑ったら、もう信じられない」っていう、恐怖感から来ている感じだな。よし。勇気を持とう。
[イチドウ]:そうだ!勇気を出そう!ははは。俺、勇気をもってお前を疑うことにするよ。お前も俺を疑えよ。…。うーむ。実際に自分に非があると思ってる場合は、やはり恐怖感に支配されるが…。
[サワムラ]:それでもなお信じられると信じることこそが…、って、またメタだよ。次いくぞ、次。
[イチドウ]:がははは。
[サワムラ]:「疑わしいもの」って例えば他に何がある?今のところ出てるのは「神」とか「宗教」とかだよなあ。
[イチドウ]:疑わしいものねえ。金、…っていうか、マネー経済でしょ、やっぱり。
[サワムラ]:疑わしいねえ。あるのかないのか、生きてるのか生きてないのか、非常に微妙なのに、それで世の中が動いてるっていうあたりは、すごく「神」に似てるよね。俺はこっちはあんまり興味ないけど。
[イチドウ]:神の見えざる手によって経済は動いてるらしいからさ。」でもさー、みんな信者じゃん?金に関しては。っていうか、盲信してるね。
[サワムラ]:「俺は金なんか信じないぜ」って、言ってみてぇなあ。でも、そういう奴がいると、金って、もう金でいられなくなる、みたいなところがない?
[イチドウ]:金は信用そのものだからなあ。だからマネー経済嫌いなんだよな。九割だってさ、全体の。嫌じゃねえ?
[サワムラ]:嫌だねえ。あれ?なんか話がこんがらがってきたなあ。俺は、金は信じてるんだよ、ちなみに。でも、マネー経済はどうかと思ってるんだけど、そのへんのニュアンス、伝わってるよなあ?
[イチドウ]:分かるよ。モノつくって売れよ、ばかやろうってことだろ?
[サワムラ]:それです。いや、他のやつは何やっててもいいっちゃいいんだけどさ。俺にできるのはモノつくって売るのと、モノ教えて売ることだけだな。そのほうがいけてるって信じてるんだろうな、きっと。
[イチドウ]:なるほどね。そういえば、マネー経済、生きてるか生きてないのか微妙って、なんか、シュレーデンガーの猫みたいじゃない?
[サワムラ]:お。量子力学かい。これまた極めて「疑わしいもの」がでてきたねえ。
[イチドウ]:量子力学の概念は分かりにくいし、日常生活の常識とかけ離れすぎてるから疑わしい感じするけどさ、あれ、普通に利用されてるんだよね、日用品とか作るのに。
[サワムラ]:そういうところも、宗教とか経済に通じるものがあるな。量子力学だけじゃなくって、科学って全般的に、すごく説得力がある割に、疑わしいナニカを感じさせない?もっと言うと、説得力があること自体が嘘くさい、っていうかさ。
[イチドウ]:誰が言ってたか忘れたけど、真の科学者は常識となっている定説さえ疑いつづけなければいけない、っていうのがあるけど、あれ、いい立場だなーと思った。
[サワムラ]:そうか?「真の」科学者とか、なんか気持ち悪くない?
[イチドウ]:「真の」って言ってなかったかも。「科学者は」だったかな。
[サワムラ]:懐疑主義者は、懐疑主義さえも疑わなければならない、っていうのと同じノリだな。はは。結局またメタ論だよ。ま、それはさておき、「疑ってかかる」は科学者に限らず、学者全般に求められている態度でしょ?あ、学者ってのも疑わしいですな?
[イチドウ]:とくに歴史学者とか、考古学者とか?歴史上の人物もね、ホントにいたのかね。
[サワムラ]:ホントにいたかどうかは、そんなに俺的には重要じゃないから、別にいいんだけど、盲信を強要する感じの歴史って、やっぱり反吐がでるよなあ。
[イチドウ]:でるでる。俺は歴史は見方なんだっていう立場を信じてるから、そういう一方的な歴史観を聞くと、萎えるよ。
[サワムラ]:ようするに、「真実は一つ」っていう立場に、根本的に違和感があるんだな。俺もそうなんだよ。宗教であれ、経済であれ、科学であれ、歴史であれ。
[イチドウ]:でも気持ちはわかるけどね。俺も心のどこかで、「真実はひとつ」であって欲しいなあ、とは思っているわけよ。でも、そんなわけねえな、っていうのがきてるから、やっていけるというか。
[サワムラ]:さっきの話に戻ったね。結局のところ、「真実は一つ」って言わなきゃいけないような立場のものは、疑わしくならざるをえないわけだ。学問は答えを見つけるためものだ、って信念でやってる人はどうしてもそっちに行っちゃうよなあ。この系統以外でも、「疑わしい」ものはあるかねえ?
[イチドウ]:やっぱ人間かなあ。
[サワムラ]:だろ?結局そこなんだと俺は思うんだよ。信じにくいものナンバーワンは、人間なんだよ。何しろ、いやなところいっぱい見えるし、歴史とかで習うし。人間に比べたら、神なんてめっちゃ信じやすいぜ。
[イチドウ]:不確かなものナンバーワンか。人間こそ信じるべき存在だ、ということだな。
[サワムラ]:そう。信じたいものナンバーワンでもある。神より人間。宗教はさ、人を信じる為のトレーニングなんだよ。神は完璧だからな。信じるのは簡単だ。そういう簡単なところから始めて、いつか人を信じられるように練習するんだよ。人を信じるのが一番難しいからな。
[イチドウ]:すげえ。お前の立場でそれをいえるのは、勇気があるよ。
[サワムラ]:そこはほら、信頼だよ。神はこのぐらいで怒ったりはしない、って俺、信じる努力を続けていくつもりだから。いや、実際、神にとってもうれしいことだと思うよ。人間を信じられない、って言っている人が、神を信じることを通して、人間も信じてみようかな、っていう気になったらさ。
[イチドウ]:人を信じられなくなる時ってどんなときだろ?
[サワムラ]:いやなニュース見たり、戦争始まったりすると、うわあ、ってくるけど。
[イチドウ]:嫌なニュースって?
[サワムラ]:そのへんの俺の感覚は普通だよ。子どもがらみの殺人事件とか、へこむね。事件そのものにもへこむし、その事件のとりあげられ方とか、そのニュースみた人たちの反応とかのいちいちに、結構へこむよ。ま、テレビ持ってないから、最悪なへこみ方はしないですんでるけどね。お前の場合はどうよ?
[イチドウ]:おれは、アレだな。ブーム系のニュースがへこむよ。
[サワムラ]:ああ。主体性の無い人間の群れを見てへこむ、っていう感じね。わからんでもない。でも、ここで強調したいのは、「コイツらダメだなあ」で終わらないで、自分も含めた「人間ってダメだなあ」っていう感覚なんだけど、分かる?
[イチドウ]:いや、言い訳しとくけど、コイツらダメだなあって考えてる時の俺は、傲慢でダメな奴だと戒めるようには、してるんだよ…。うーん、人間ってだめだなあ、か。やっぱり集団だな。ゴシップとかさ。何も知らない人までが、周りの人が言ってるという状況に流されて一人を攻撃してる状況とか、人間って弱いなあ、だめだなあ、ってなるな。
[サワムラ]:そこ。人間が信じられなくなるときって、「悪」を見たときじゃなくて、「弱さ」をつきつけられたときだよなあ。二十世紀の歴史映像とか見てると、すごくつきつけられない?
[イチドウ]:られる。それだけ生きてきて、いろいろ考えて、出した結果がそれかよっていう、そこには非常にへこむよ。
[サワムラ]:でも、そんなことで人間を信じなくなりたくないからな。人間はすごいんだ、って自分になるべく言い聞かせるためにも、俺にはサーカスが必要なんだよ。人によってはそれがロックとか、彼女とか、宗教とか、サッカーとかだったりするんだろうけど、俺は主にサーカスで充電するね。お前はどうやって充電してる?
[イチドウ]:友人。
[サワムラ]:いや、それは誰でもそうじゃん。もっとこう、裏技みたいなのはないの?っていう質問なんだけど。
[イチドウ]:うーん・・・。俺、裏技無いかも。やっぱり人に会うことだなあ。身近な人を信じられなくなったら、どうしてる?サーカスって訳にはいかないだろ?
[サワムラ]:身近な人を信じられなくなる、っていうのは、その人のことを嫌いになりかけてる、ってこと?ここまで話してきた「信じる」っていうのと、今お前が出してきた「信じる」は、ちょっと違うモノな気がするんだが。
[イチドウ]:ほんとだな。ちがうな。そうか、俺らは根本的に人を嫌いになるっていうのを、よくないことだと信じてるんだな。でも、こいつ、なんて嫌な奴だ、っていうやつ、いるよな?
[サワムラ]:そりゃあ、いるよ。でも、そういうときでも、「人間はすごい」「こいつも人間」「だからこいつもすごい」っていう[イチドウ]段論法で、俺は関係を完全に切っちゃうみたいなことは、しないように努力したいと思ってるよ。はは、まわりくどい言い方だな。
[イチドウ]:はは。らしい考えかただな。俺は単純に「自分が見えてないだけで、こいつの良さを知っている奴は[サワムラ]山いるに違いない」と思うようにしてる。それもなんか辛いんだけどさ。
[サワムラ]:すっげえ最初の問いに似た問題にここでつきあたるな。子どもが、「どうして人を嫌っちゃいけないの?」って聞いてきたらどうする?
[イチドウ]:いや、俺自身は「いけない」とは思ってないよ。思うのは自由だし。嫌ったあとにどうするかが問題なんだと思うんだ。でも大抵の人が思ったあとによからぬ事をするんだよね。
[サワムラ]:また俺っぽい言葉の話になるけど、「嫌う」ってのは心の中の動きと、実際に相手に対しての動きと、二つにわけられるね。
[イチドウ]:ははは。お前二つに分けすぎ。
[サワムラ]:世界には、二つに分けるタイプの人間と、二つに分けないタイプの人間がいるのさ。
[イチドウ]:こら!もう、手に負えん。あ。オメエ、分類が嫌いだっていう歌を作ってたよな?確か?あ?大好きじゃねえか。あ?
[サワムラ]:嫌い嫌いも好きのうち。うーん。自分でも何言ってんのか分からなくなってきた。
[イチドウ]:つまり嫌いでも好きになれると信じて関係を保ちつづければいいんだな。
[サワムラ]:奇しくも「信じる」の話に戻ったな。嫌いだからって、嫌う必要はないわけだ。これって、「一回信じたら、もう終わり」と同じ論理構造でしょ。
[イチドウ]:おおお。ほんとだ!よく気がついたなー。
[サワムラ]:おおげさに言えば、関係を保つっていうのは、自分と相手の両方を信じつづける努力をする、ってことだしなあ。
[イチドウ]:昔さあ、自分と他人が同時に信じられなくなったことがあったよ。
[サワムラ]:おお。身近な話のほうが、確かにリアルに心につきささるよな。で、どんなよ?
[イチドウ]:あー、この話するの嫌だなあ…。まあいいや。高校のときにさ、放課後の教室でさ、クラスの女の子に好きだと言われたことがあったんだよ。そのときにさあ、話の流れでね…。色んなネガティブな心理的理由からさ、「ほら、俺って性格悪いからさ。」とか言ったんだよ、その子に。わかる?
[サワムラ]:ああ。「そんなことないよ。」みたいな反応を期待したノリね。わかるなあ。で?
[イチドウ]:したらさあ、「みんなはそう言ってるけど、私はそう思わないよ。」って。あれは、痛すぎ。っていうか、唖然。まあ、そんな台詞を言ってる俺は性格が悪かったであろうこと、間違いないんだけどさ。お前はどうよ?傷ついたセリフとかある?
[サワムラ]:やっぱり恋愛がらみだよな。そういうのって。「人にわざと劣等感を植え付けるような言動はやめたほうがいいよ。」ってつきあってる女の子に言われた時はかなり本気でメゲたね。
[イチドウ]:うわあ。きっつううう。セリフそのものよりもそういう言動をなぜしていたのか、っていうのを彼女に見抜かれてるっていうのが、ああもう、だめだわ、おれ。
[サワムラ]:でも、直接言ってくれるってのは、お互いに信頼関係があるってことなんだろうな。
[イチドウ]:そのとーり。だからさ、相手に言いにくいことをどこまで言えるかってのが俺のテーマの一つなんだ。
[サワムラ]:お前がよくいう、「どれだけ相手を信じているかで、自分をどれだけ開放できるかが決まる。」ってやつね。開放してると、たいがいのやつはすごいこと、できるもんなあ。
[イチドウ]: そうなんだよな。自分に対する自信と他人に対する信頼って表裏一体的なところがあるからなあ。どうなんだろう?そういう意味で自信って二種類あるのかね?
[サワムラ]:俺はよく自信家だと思われがちなんだけど、実はすごくステージ前とか、トイレに何回も行ったりしてるわけじゃん。自信も、一回もったらそれで終わりってもんじゃないんだよ。多分。
[イチドウ]:なるほどね。いや、俺が言ってるのはサ、プロのミュージシャンとかエンターテイナーって、観客を信頼してパフォーマンスをしているっていう感覚が、あるのか、ないのか?ちなみに俺はそうやって緊張感とかをほぐしてるんだけどさ。
[サワムラ]:俺も練習より本番のほうが出来がいいクチだからサ、観客と共につくるステージ、みたいな感覚は強いよ。うーん。他の人、極端なところでは、マイケルとか、どうなんだろうね?観客に対する信頼……うーん。俺はアルと思うネ。
[イチドウ]:オメエ無理して発言してるだろ。アルか?
[サワムラ]:じゃあ、奴はちょっと極端すぎるから置いといて、もうちょっと一般的にね。よくみんな、ファンのみなさんのおかげです、とか言うよね。
[イチドウ]:俺もそう思うけど、あれはさ、最初に言った奴はホントにそう思ってたんだろうけど、あとに続いた奴もいると思うな。
[サワムラ]: それはそうだろうけど、だからってあれが百%、営業トークだとは、俺は思わないけどな。そう口に出した瞬間から、その考えは絶対に心に影響するはずだし。
[イチドウ]:なるほど。言霊だね。そうだなあ。うーん…。なあ。一回信じたら終わり、っって話だけど、人の見方もそうだよね。人格。こいつは凄い奴だ、こいつはダメな奴だ、って一回信じたら終わり、みたいな付き合い方をしがちだよな。俺も結構やっちゃうんだよなー、そういうの。良くねえなあ。傲慢だよなー、まじで。
[サワムラ]:教育学で勉強したな、そういうの。ピグマリオン効果だっけ?「こいつは○○な奴だ」って先生が生徒のことを信じていると、たとえそのことを先生が誰にも言わなくても、その生徒は○○な奴になっていきがち、みたいな。
[イチドウ]:ああ、あるね。心理学でもあるよ。人は何かを強く信じていると、それが起こるように行動してしまうっていう、なんていうのか忘れたけど。っていうことは、周りの人を、「こいつは凄い奴だ」と決め付けてそう思ってるのは意外と悪いことじゃないのかね?
[サワムラ]:すごいってのがどういうことなのか、だよな。「すごーい」って言ってくれるのはうれしいんだけどさ、あんましそういう子とは親しくなれないっていう事実も否めんしなあ。「すごーい」って、もう「私とは別の世界」ってノリがない?
[イチドウ]:なるほど。あこがれってやつね。あこがれがあったら「親しく」はなりにくいわな。憧れてる人って誰かいる?
[サワムラ]:いや、あこがれじゃないよ、俺がいいたいのは。あこがれは「この人みたいになりたい!」っていう感じじゃん。だけど、「すごーい」は、ガラス越しにこっちを見てて、しかもそこに安住する気満々の感じなんだよ。
[イチドウ]:今ふと思ったんだけどさ、すごーいって女の子しか言わねえ気がしねえ?あれなんだろうね。やっぱり異性を意識した言葉なのかね。
[サワムラ]:話を整理しようか。今、信じるっていう話から、人を信じるって話になって、人をすごいと信じればその人は本当にすごくなるのか、っていう話になって。でも、すごいって言われるのってなんか微妙じゃねえ?って話になったのか?女の子にほめられると、その気になるかとか、そういう話かな?調子にのるという話とも関係ありそうだが。
[イチドウ]:なるほど。女の子に褒められるとその気になるのは確かだけどさ、すごーいって言うのは良い褒め方じゃないなあと感じてるのは確かかな。っていうのは、この人別の世界のひとーっていう疎外感を感じちゃうから?そんな感じ?
[サワムラ]:ま、そんな感じだな。じゃ、どんなほめられかただと嬉しい?
[イチドウ]:俺こんなこと言われたことあるよ。高校一年生の女の子がさあ、[イチドウ]十近いおっさんに向かって「いつまでも少年のままでいてください。」って。俺は一体何なんだ?
[サワムラ]:はははは。正直、嬉しかった?
[イチドウ]:恥ずかしかったけど、正直、嬉しかったのは否めないな?なんでだろ?
[サワムラ]:俺は大学の先生に「いろいろ器用そうなのに、人生だけは不器用なところがいい」って言われたのが、なんか、すっげえ心にしみたね。
[イチドウ]:ううーむ。お互いにそういうのをなんとなーく、誉め言葉として捉えてるっていうのはいうのは、なんだろね。相手が、良し悪しでなくてさ、自分の何かを認めてくれてるような気がしてるんだよね。たぶん。他にはある?
[サワムラ]:似顔絵の客に「去年より腕があがりましたね」とか言われちゃうと、うれしくて夜泣いてるね。俺は。
[イチドウ]:あははは。かわいいとこあるね。なんかちょっと思ったんだけど、要は褒められたいんじゃないんだよな。認めて欲しいんだろうな。どう?
[サワムラ]:ま、そうなんだけどね。褒められるのは即効性のエネルギーにはなるよ。仕事をほめられりゃ嬉しいしね。逆に言うと、褒められそこないつづけていると、なんか不公平だ、なんで俺ばっかり、みたいな邪悪な感情がめばえがち。あ、俺はしょっちゅう褒められてるから、これは一般論の話ね。
[イチドウ]:人を褒めるのは難しいんだけど、人をちゃんと褒めれる人ってダメなところも指摘できる人、のような気がするな。ちゃんと見れてるっていうか。
[サワムラ]:なんか、当たり前な話になってきたな。そもそもこの話は、「すごいと誤解されつづけるとすごくなりがち」っていう、ピグマリオン効果の話から来たんだよなあ?
[イチドウ]:そうだったな。じゃ、凄いと誤解してる人っていうのは踏み込めた信頼関係を構築できていないということになるので、本人に及ぼす影響はたいしたことないってことか?ちゃんと見れてないんだからさ。
[サワムラ]:もともとピグマリオン効果は、教育という限定条件がある気がする。親子とか、先生と生徒とか。友達同士だと、話はこれ、変わってくるな。
[イチドウ]:なるほど。つまり友達から凄いと誤解されつづけても付け上がるだけでまったく本人は成長しないっていことか。ははは。
[サワムラ]: ということで、友達を誤解させるような発言は控えよう。
[イチドウ]:そういう発言を好んでやってる節があるよね、俺たち。
[サワムラ]:この対談自体がそれくさいしね。
[イチドウ]:やめましょうか。
[サワムラ]:やめますか。
[イチドウ]:そうしましょうか。
[サワムラ]:そうしますか。

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【2005/09/29 23:37】 カテゴリ:焚火トーク
サワムラ×イチドウ vol.7 「作品づくり」
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[イチドウ]:「エキセントリックオペラ」の「セレナーデ」を[イチドウ]日くらい飯もろくに食わずに聴き続けたことがあってさ。そのときに、「ああ、俺、もう作曲しなくていいや。」って思った。
[サワムラ]:おれが小説を書くのをやめようと思ったエピソードに似てるな。ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」を読んで、ああ、この本があるなら、俺が本を書かなくてもいいや、って思った。
[イチドウ]:「ネバーエンディングストーリー」か。確かにアレはすげえな。
[サワムラ]:うん。でもさ、前崎利人が言ってるんだけどね、偉大な絵や音楽を前にして、若いアーティストが新しいものを作ることをあきらめるのは、怠惰でしかないって。絵や音楽や本はいくらでも新しいものを作っていいんだってさ。建築だけはちがってね。パリの面積は限られているし、京都の面積は限られている。新しいものを作ろうと思ったら、古い建築物をこわさなきゃいけない。責任が全然違うんだよ。ピカソやゴッホを塗りつぶさないと新しい絵が描けないことを想像してみろ。それと較べれば、自分のさっきの発言がいかに怠惰なものであるか、実感できちゃわない?
[イチドウ]:ひょえー。かっこいいなあ。まあ、クリエイターが他の人の作品に打ちのめされて、何も出来なくなることって意外に多いと思うんだけど、でもしばらくするとまた作り始めるんだよね。殆どの場合。俺も1年くらいは作曲止めてたんだけど、また始めたしね。その発言には共感できるけど、それよりも結局作りたいっていう欲望が生まれるんだから、問題無いんじゃない?人はすぐ感動や衝撃を忘れる。っていうか薄れる。
[サワムラ]:忘れるから新しいことができる、っていうのも人間のいいとこなのかもな。この話って、モダンとポストモダンの話だよな。人間はより高みへと昇っていくのか。それとも、このくらいの存在なのか。
[イチドウ]:ちなみに俺、モダニズム大好きなんだけど。
[サワムラ]:お前が言うモダニズム、って、どんなモダニズム?
[イチドウ]:人間の可能性は無限であり前進しつづけることに意味がある、みたいなの。
[サワムラ]:前半は賛成なんだけどさ。前進ってなによ。前ってどっち?
[イチドウ]:わかんねえ。はははは。
[サワムラ]:ははは。俺は、前とか、ゴールとかがある世界は嫌なんだよ。モダニズムってゴールを目指して突き進む感じがして好きじゃない。
[イチドウ]:いや、ゴールは個人個人勝手に設けていいんじゃないかと思うんだが。
[サワムラ]:そのゴール指向が、「俺のほうが正しい」っていう争いの根本原因なんじゃねぇかな。たいていの戦争やってる奴はモダニストだと思うな。俺は。
[イチドウ]:なるほど、だから新しいパリを創造する為に街を爆撃するわけか。
[サワムラ]:根本のところは同じだろうな。俺のほうが正しい、っていう信念がないと、人の作ったものをこわすなんて、なかなかできないと思うよ。俺にはできない。建築家にならなくてよかったよ。
[イチドウ]:そういう戦争やってる連中をポストモダンな人たちはどうみてるのかね。
[サワムラ]:へらへらしながら見てるんじゃない?植物とか愛でながら。
[イチドウ]:なるほど。キヨシロウみたいな立場ですね。
[サワムラ]:うん。世間的には「不真面目」と言われている人たちが、一生懸命平和の草の根運動をしてくれているんだね。
[イチドウ]:こらこらこらこら。ポストモダンな人たちが全員不真面目みたいな言い方はよしたまえよ。
[サワムラ]:いや、俺が言ってるんじゃないのよ。言ってるのは「世間」様。
[イチドウ]:お前が言う「世間」ってどこのあたり?
[サワムラ]:なんか、テレビとかよく見てる人たちの集合。あ、関係ないけど、俺、中学3年生まで、巷って、東京の地名だと思ってたよ。
[イチドウ]:東京都港区と東京都巷区は確かに見分けがつかんね。
[サワムラ]:ほんとだ、すげえ。「イタリア」と「例」も似てない?あ、「似」と「インド」も似てるよね?
[イチドウ]:はは。どうでもいいねえ。そうだなあ。東京に世間とか巷とかっていう地名が実際あったら面白いだろうな。間違いなく地方から来てる人たちは行きたがるよね。サブカルチャーの中心になるんじゃない?
[サワムラ]:あくまでもサブなのね。おいたわしや。ちなみに、今サブカルチャーの中心ってどこなの?アキハバラとかっすか?
[イチドウ]:世間にきいてくれ。
[サワムラ]:そうだよな。お前もテレビ、持ってないもんな…。
[イチドウ]:最近、過疎化防止のためにさ、村おこしとか流行ってるじゃん。あれ、いっそのこと村の名前をさ、「世間」とか「全米」とかにすればいいと思うんだけど。
[サワムラ]:はは。その村で一番きれいな娘は、「ミス全米」かよ。「全米で大ヒット!!」っていって、トラクターとか売るのかね。売れるかな~?
[イチドウ]:ほかにもあるぞ。「業界」とか「若者の間」とか。
[サワムラ]:業界で流行ってたら、そりゃあ世間は大騒ぎですよ。[イチドウ]宅さん。
[イチドウ]:青森県字業界!佐賀県大字若者の間!新聞に載ってたら若者や業界人は焦るだろうね。
[サワムラ]:若者っていうのは俺とか入ってるのかな。「最近の若い人」とか「最近の日本人」とか、あんまり自分も入ってる感じがしないね。帰属意識が希薄なのかな。「受験戦争時代の末裔」とか「昭和最後の小学生」とかなら、わりとしっくりくるね。どう?
[イチドウ]:「最近の若い人」という意識はなくても、「最近の若い人はこんなだめなところがある」という文章には、俺はだいたいあてはまる。
[サワムラ]:そうなの?何が書いてあるの?ちゃんと読んだことないや。そういえば。
[イチドウ]:大体ああいうのは、「最近の若い者は先のことをしっかり考えずに行動して、いつまでたっても精神的な自立ができてない」、みたいなことが書いてあるでしょ?俺の行動哲学ってそんな感じじゃん?
[サワムラ]:お。その最後の「じゃん?」ってところが、いかにも精神的な依存を表していて、非常に自己言及的でよろしい。
[イチドウ]:褒められると、嬉しかったりして?
[サワムラ]:「若者言葉」の「半疑問形」だな。ずいぶんとこれを嫌う方も多いようだが、なにげに結構年いってる人でも、使ってる人は多いよな。
[イチドウ]:そうだな。それと関係あると思うんだけどさ、最近、「正しい日本語」とか「間違った日本語」とかいう本が巷やら世間やらで売れてるらしいんだけどさ。あれどうおもうよ?
[サワムラ]:言語を「正しい」「間違っている」で考えるのがそもそもズレてるよ。その場に「ふさわしい」か「ふさわしくない」かを論議するならまだしも。
[イチドウ]:社会性と言語の発達は切り離せないものなのになあ。
[サワムラ]:言語生活ってのは、わざとルール違反をする喜びもふくめて言語生活なんだよ。日本語教師だからって、いつも「正しい日本語」なんか使ってられねぇっつうの。まあ、その場にふさわしいかどうかを見極められないやつまで擁護するつもりはないけどな。
[イチドウ]:確かになあ。「正しいスラング」ってのを書いたらそれだけで矛盾してるもんな。
[サワムラ]:そういう本を買ってしまうのは、「なんか自分の日本語は間違っているかもしれない」っていう不安感なんだろうけど、実はうまくいってないのは日本語じゃなくて、コミュニケーションのやりかたの方だっていうのがほとんどだと思うんだよ。まあ、コミュニケーションのやりかたってなんだよ、って感じだけど。
[イチドウ]:特定のソサイエティーとか特定の世代としか話をしていない人たちが増えているってのが原因だと、俺は思ってる。
[サワムラ]:不完全感があるわけだな、そこに。でも、そこで不完全感があるのは、センスとしては悪くないよ。むしろ、感じるべきところでもある。問題は、その不完全感が、「日本語」の勉強で埋まるという勘違いだ。誰がそういうふうに仕向けたんだろう?あ、でも、「正しいコミュニケーション」なんて本もあるね?
[イチドウ]:渡辺真由美が、「いくつですか?」と言う質問に対して「いくつに見えます?」と答えるやつがほぼ100%な状況は打破するべきだと、言ってるんだけどさ。やっぱりこれもコミュニケーション能力のなさを露呈してるよな?
[サワムラ]:やば。俺も言ってるわ、それ。でもそれはいいところをついてるな。要は、「ワンパターンな会話しか出来ない」やつは「コミュニケーション能力が低い」と自らを認識し、努力せねばならんのだな。
[イチドウ]:「いくつですか?という質問に対していくつに見えます?と答えてしまう人のためのコミュニケーション」という本を書いたら、100%売れるな。
[サワムラ]:書け書け。たぶん俺、こっそり買うわ。まあ、それはともかく、コミュニケーションの問題を日本語力の問題にすりかえてまで、「正しい日本語」を守り、「若者の間違った日本語」を根絶しようとがんばっている人たちがいるわけだ。けなげだなあ。いくら頑張っても言語が変わっていくことは止められないのに。
[イチドウ]:言語研究系の本を読んでるときにあったんだけど、日本語だけじゃなくて色んな言語で、相手の同意を求めるような文末表現が増えていく現象が見られるらしいね。
[サワムラ]:なるほど。つまり世界的に言語が、コミュニケーションのツールとしてお互いの間を行き来する郵便物みたいなものなのではなく、お互いの間で作り上げていく作品のようになってきているということだな。
[イチドウ]:作品っていうのは共感できるね。
[サワムラ]:自分とは何か、という問題が個人だけ見てても全然わからなくて、結局他者を持ちださないとわからない、という思想の流れにも通ずる何かだな。
[イチドウ]:ん?それってお互いが話していることがお互いの自己の境界線を定めているって言う意味か?
[サワムラ]:自己の境界線か。そうだな。自分について知りたかったら、自分じゃないもののことを見てみないとだめなんじゃないか、っていう。でも、どこまでいっても、結局自分の目でしか自分じゃないものを見ることはできないわけで、そのへんに限界はあるんだけど、それを一人でやってるわけじゃなくて、相手がいて、お互いに境界線と共通点を探しあっている、っていうかね。
[イチドウ]:言葉と自己をそこまで同一視していいものかね?
[サワムラ]:言葉の構造と自己の構造が同じであるという仮定においてなら、していいんだと思うよ。っていうか、俺はそう仮定しているんだけど。
[イチドウ]:言語と自己の関係性についてなんだけどさ、十八歳くらいの時に、「物心がつく」って言葉を考えてたらさ、なんとなく見えてきたことがあってさ。物心がつくって、だいぶ世界のことが分かってきました、っていう意味で使うじゃん。赤ん坊から、幼年、少年に成りかけていく頃だな。どういうことかというと、物に心が付くって、そのまんまなんだよな。物を認識するという意味だと思ったんだよ。つまりさ、赤ん坊の世界は完璧で、自分と世界が切り離されていない。完全に一つの世界なんだ。そこに、親やら他人が、言葉でひとつひとつ世界を切り取って教えていくんだ。これは、ライターですよ、あれは空ですよ、こっちはお父さんですよ。ものに意識が行く、その力が身に付く、という感覚で、昔の日本人は捕えてたんじゃないかと思ったんだよ。言葉が認識を作り認識が世界を分離させていく。
[サワムラ]:なるほど、構造主義まで自力で行ったのか。やるな。
[イチドウ]:あれ?構造主義ってどんなんだっけ?
[サワムラ]:モノとコトバの関係で世界はできてる、みたいな考え方だよ。コトバ抜きではまったくモノを考えることができない、っていうところから、はじめにコトバありき、みたいなところにいったんだな。言語と世界は構造的に相似だとか、そんな話だよ。「なんで言葉って通じるんだろう?」って疑問に思ったことない?
[イチドウ]:あったかなあ…。
[サワムラ]:それをつきつめたのがソシュールで、「言葉が通じるのに、分かり合えないのは何でだろう?」って悩みつづけたのが、ウィトゲンシュタイン。あ。ちなみに全部独学だから、めちゃくちゃ俺の話、ウソかもしんないよ。
[イチドウ]:うーん、何で言葉が通じるのかっていうのは、考えたことなかったな。言葉が通じるって言うのは頭の中にあるイメージがある程度伝わるって言うことだよな?
[サワムラ]:そう。変だと思わねぇ?なんでこんな音の羅列で、考えているすごく曖昧で複雑なことを、人に伝えて、ケンカしたり共感したりできるのか。
[イチドウ]:要は言葉自体に意味があるんじゃなくてイメージに意味があるからだよな。
[サワムラ]:イメージ、てのが世界の断片のことなら、そういうことだな。
[イチドウ]:そうそう、そういうこと。
[サワムラ]:世界ってのは、俺らが見ている世界以外にはないわけで、俺らに認識できない世界は、世界じゃなくて、超世界なのね。マトリックスみたいなさ。ま、ここではとりあえずその超世界ってのはおいといて。俺らに認識できる世界は、構造があるわけよ。断片が組みあわさって出来ているわけよ。だから、音という断片が組み合わさっている言語で、対応が可能なわけだ。
[イチドウ]:養老猛司の唯脳論もそこに通ずるわけだな。
[サワムラ]:科学と哲学と言語学が、全然別の過程を経て、ほとんどおんなじようなところに辿りついているあたりは、かなりほほえましいね。
[イチドウ]:ほほえましいってのはお前らしい。
[サワムラ]:で。もう少しつっこむとだ。なんで構造的には分かり合えるはずなのに、実際には分かり合えないんだろう、っていう、子どもみたいな悩みが浮かび上がってくるんだよ。「どうして人は分かり合えないんだろう」ぐらいのトコロから始まって、「そもそも分かるとは何か」「分かることができると思ってしまいがちなのはなぜか」みたいに考えを深くしていって、「言葉にできないことについては、分かり合えない」っていう、当たり前みたいなところに行きつくんだけど。
[イチドウ]:なるほど。
[サワムラ]:で、ここ、重要なところなんだけど、ウィトゲンシュタインは「分かり合いたい」っていうのが、根本にあったんだ。でも、それを本気で考えて、考え抜いて、「分かり合えない部分がある、ということを共有できる」というところに落ちついたんだな。
[イチドウ]:いいねえ、ウィトゲンシュタイン。どうして分かり合いたいのか、については何も言ってないの?
[サワムラ]:あ、「分かり合う」っていう言葉は、実はウィトゲンシュタイン自身は別に使ってないんだよ。俺がそう解釈してるだけで。奴が使った表現は「言葉にできないことについては沈黙するしかない」なんだけど、これは誤解を受けてね。他の若い思想家とかが「言葉にできないことなんかについて考えることは無意味だ」みたいな意味にとっちゃって、ウィトゲンシュタインはとても悲しかったらしい。「言葉にできないこと」に至上の価値を置くために言った決めゼリフのつもりが、まったく逆の意味にとられちゃったんだからな。で、も、そりゃ、誤解されるよな、っていう言い回しだよ。だから、俺が勝手に解釈を加えて言ってるわけ。
[イチドウ]:ん?ウィトゲンシュタインがいってる、「言葉にできないこと」は世界に属するの?超世界に属するの?
[サワムラ]:超世界。世界は言語と同じ構造なのが前提だからな。
[イチドウ]:なるほど。言葉にできないことってなんだろう?
[サワムラ]:「言葉にできないこと」っていう言葉では表せない何かなんだよ。でなきゃ、言葉になっちゃってるし。
[イチドウ]:分かり合えてる気がして来た。
[サワムラ]:はは。ウィトゲンシュタインもお前に会っていればもう少しいい奴になれたかもな。
[イチドウ]:嫌なやつだったの?
[サワムラ]:いや、会ったことはないんだけどね。いい噂は聞かないよ。議論の途中で相手がいやになって、議論を中断しようとすると、話を続けないなら自殺してやるとか騒ぎ出すタイプの男だったらしい。
[イチドウ]:周りの人たち、とてもいい人だね。
[サワムラ]:ラッセルとかだよ。さすがだねえ、ラッセルは。
[イチドウ]:納得。しかし、寂しかったんだろうねえ、ウィトゲン。分かり合いたいう感情の源はさ、寂しいから、とかいう理由以外に、パズルを解いた時みたいな喜びがあるよなあ。ニューロンが他人の脳と繋がって、その人の情報が一瞬入ってくるような感じ。
[サワムラ]:ああ、シンクロね。そこに快楽を感じるように人間は出来ているのかな。だとしたら、自己というものは個人で成り立つものではなく、他者との関係性で成り立つものなんだ、っていうさっきも出てきた思想に説得力が出てくるよね。言語もそういう喜びを得られやすい形に変わってきている。
[イチドウ]:まあ、つまり、ウィトゲンは性格が悪かったので分かり合えなかった、ということですかね。
[サワムラ]:言葉も足りないしね。
[イチドウ]:お前ねぇ。沈黙するしかないな。


【2005/09/29 23:36】 カテゴリ:焚火トーク
サワムラ×イチドウ vol.6 「バイリンガル教育は危険!?」
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[サワムラ]:そういやネットでさあ。すげえ広告見つけたよ。「何もしなくても英語が話せる日が来ます。」って。なんだそりゃあ?
[イチドウ]:まじで?じゃおれ、何もせずに待ってることにするわ。
[サワムラ]:来ないよ。来ない来ない。来ません。「寝ている間に英語耳」ってのも一時期はやったね。みんななんで技術修得を楽しまないんだ?
[イチドウ]:俺らは暇なの。
[サワムラ]:技術修得に俺は大忙しだけどなあ。ま、それはそれとして。「子どものころから始めれば、カンタンに外国語ができるようになれる!」みたいな神話も、いまだに根強い人気だよなあ。
[イチドウ]:本当は自分がしたいことを子供に押し付けるなよなー。きたがわ翔が言ってるんだけどね。これ。
[サワムラ]:俺のつっこみどころはそこじゃないんだけどね。俺がひっかかるのは「カンタン」ってところよ。
[イチドウ]:うーん。つまりあれか。母語形成が完成してないうちに多言語をむりやりつっこむのは良くないんじゃねえってこと?
[サワムラ]:ああ。良くないっていうより、「危険」っていったほうが正確に伝わるかな。バイリンガル教育は危険だよ。いちかばちかの賭けだ。あ、お前はそういうの好きだっけ?
[イチドウ]:まあ嫌いじゃないけどさ、自分の子供にそれを押し付ける気にはなれねえな。やっぱ。
[サワムラ]:そもそもバイリンガル教育ってのはさ、「子どもをバイリンガルに育てたい」っていうモンじゃねえんだよ。あれは移民政策だぜ。もともとは。
[イチドウ]:なんでそーゆー感じになっちゃったんだろうねー。日本人は多いよな。あ、韓国人にも多いな。なんでだろ?
[サワムラ]:単なる英語コンプレックスじゃない?言語の構造と、地理的なことや歴史的なことを考えたらさ、日本人とか韓国人が英語習得に時間がかかんのはあたりまえなんだけどさ。なんかそれが許せねえんだろうねえ。きっと。
[イチドウ]:俺はやっぱ日本の英語教育はどうかと思うんだよな。お前は否定するだろうけど。
[サワムラ]:うん。するね。日本の英語教育はあんなもんで十分だよ。何がいいって、日本語の修得を一切邪魔しない。そして、英語ができないことで他の教科ができなくなったりもしない。外国語として英語を学んでるってのことを、あのカリキュラムをつくったやつはよく分かってると思うよ。
[イチドウ]:いや、俺もそれはそう思うんだよ。でもさ、あ、これ俺の完全な妄想ね。一番いいのはね、中学、高校で英英辞典を読む方法だけをおしえるんだ。それに必要な単語と文法、発音とかはまあ有ってもいいけどさ。で、受験して大学入ったらそっからは英語だけで英語を学ぶ。やっぱり日本語を頭の中で翻訳するっていう考え方じゃ、うまくならないし、最終的にはぜってーそっちの方が効率が良くなると俺は思うんだけどさ。どう?
[サワムラ]:なるほど。「学習力を培う」ってやつね。いいんじゃん?その考え方は最近の教育学の筍だし。
[イチドウ]:そうなの?
[サワムラ]:「何も知らないガキに、何でも知ってる先生が教える」みたいなスタイルはもう限界なんだよ。ほら、ガキって物知りじゃん。
[イチドウ]:むかつくよね。
[サワムラ]:ははは。まったくね。そういうふうに、物知りだからって、その持ってる情報を上手に使ってないガキはさ、単なる物知りのうざいガキ、ってことになっちゃうじゃん?だから、先生は「いかにして情報をあつめるか。そして、いかにしてその情報を使うか」を教えるんだな。それって要するに「学習力を培う」ってことじゃん?
[イチドウ]:なるほど。なるほどなるほど。ダウンロードの仕方とアップロードの仕方って感じか?あとは、なんのためにそのページをつくるのかっていうのも教えてるの?
[サワムラ]:ああ。そこをつくなよ。みんなそこで悩んでんだ。教育の目的ってなんだろう?
[イチドウ]:あああ。厳しいとこつくなあ。って俺か。なあ、これお前が嫌いなたとえ話なんだけどさ、最後まできいとくれよ。
[サワムラ]:手短にな。
[イチドウ]:ありえない状況を仮定させていただきます。
[サワムラ]:……。早く話し終われ。
[イチドウ]:世界にさあ、国が無かったら教育もないかね。
[サワムラ]:お。もう終わりか。ひゅう。国ってのは文化であり社会だからなあ。文化や社会を形成しない人間の集団に、教育はあるか、っていうことか…。そりゃあ俺にいわせりゃあ、もう「人間」じゃねえ、別の生き物だからなあ。教育とはいえないだろうな。仮にその集団内で、上の世代から下の世代への情報や行動様式の伝達があったとしても。
[イチドウ]:がんばったな。うーん。やっぱり情報を持ってる人は情報を伝えたいし、持ってない人は持ってる人から情報を得たいっていうのは、第一前提としてあるわけじゃん?でもそれじゃ、まだ教育とは言えないってことでしょ、お前が言ってるのは。
[サワムラ]:俺の意見を言わせてもらうとね。教育は人間の本能の一つ、みたいな感じかな。だから、教育には目的があるわけじゃない。そして、本能は否定すべきじゃないけど、手放しで肯定すべきでもない。やっぱり、知性でコントロールせにゃ。それが教育学ってもんかな、と。
[イチドウ]:でたね。コントロール。そこよ、そこ。俺が国っていう言葉を使った理由は。俺の変わりに俺の頭の中にあったことを言語化してくれてありがと。得意技ね、それ。でもお前がそれをやりつづけると、ドンドン俺があほになるような気が。
[サワムラ]:頼むからもうちょい言語化する努力をしてくれ。なんかさ。俺のまわり、お前みたいな奴が多いんだよ。…おれのせいなのか?まあ、それはおいといて。
[イチドウ]:俺が言いたいのはさ。何らかの思想、主義が存在して、それに基づいた情報伝達のことを教育と呼ぶのかな、ってことなんだけどさ。要は、主義、思想を伴わない情報伝達は教育ではない、ということなんだが。
[サワムラ]:ん?なんか、俺とお前で、ゆってることがだいぶ違うな。どのへんがずれてるんだ?俺は「社会を形成するのも教育をするのも人間の本能。だから、社会も教育も舵取りが必要」っていう考え。お前は「ただの情報伝達は教育ではない。教育は社会を成立させるという目的が前提」っていう考え。これで合ってる?
[イチドウ]:いや、俺はそうなのかなあって聞いただけだよ。でもいっこずれてるのは、俺はお前が言ってるのは「教える」のことだと思うんだ。「教育」じゃなくて。意味論になっちゃうかなあ。
[サワムラ]:お。ディスティンクティブ・フィーチャーってやつだね。教えると教育の違い。なんか、お前の今の発言、俺っぽいなあ。すごく。うーん。じゃあ、まずは問いに答えようか。「社会のないところで、情報の伝達など起きえない。よって、この命題は無意味である」。うーん。結局仮定崩壊しちゃったねえ。
[イチドウ]:だからー。最初に断ったじゃん。でもね。今思ったんだけど、ありえない情報を仮定してしまう人、もしくは状況にある人っていうのは、言葉が足りてないのよ。なにかいいたいことがあるんだけど、そうなっちゃう。多分そういうことだな。で、俺が言いたかったことをまともに言葉にするとだね。
[サワムラ]:できるんなら最初からしろ!ここまでの俺の話はなんなんだ!
[イチドウ]:ははは。すまん。俺が言いたいのはね。何かを教えたら教育ってわけじゃないじゃん。どっから教育だろって、ああ、これディスティンクティブ・フィーチャーだわ。
[サワムラ]:だから言ってるじゃん。
[イチドウ]:ちょっとやってみようぜ。じゃさ、サルに何かを教えることを教育って呼べるかな?
[サワムラ]:サル同士じゃなくって、人間からサルに、ってこと?それは教育じゃなくて、調教だな。ゴリラに手話とか教えて会話してたりするのも、教育というよりは、研究って感じだし。
[イチドウ]:じゃ、人間同士だと教育か?
[サワムラ]:いや、例えば友達に楽器を教えるのは、音楽教育じゃないじゃん?友達同士だと教育にはならないな。ってことは、教える側と教わる側の、関係性がポイントかな。
[イチドウ]:そうっぽいな。上から下じゃないと教育にならないっぽいな。女王様と奴隷は教育?
[サワムラ]:うーん。調教と教育が7:3ぐらいかな。あとは何がある?先生と生徒、師匠と弟子、会社の先輩と新入社員、親と子…。
[イチドウ]:そうか。教育はその関係性を助長するものじゃないと教育って呼べないんだ。だから、思想とか主義とかが絡んでるような気がしたんだな。
[サワムラ]:そうだな。でも結局その裏側で、その関係性を覆すような気持ちが芽生えて、実際に革命とか、生徒が先生を超える瞬間みたいなのとかがあるわけだから、そこを悲観視することはないけどな。
[イチドウ]:自分の教え子が自分を超えてゆくってのはどんなきもちだろ。俺たちは語学教育が専門だから、そういう場面には出会いにくいけどさ。
[サワムラ]:俺、好きな女の子に受験のときに小論文の書き方教えてて、結局その子だけ大学に合格して、俺は別の大学に行ったっていう経験があるよ。きもちはねえ…うーん。やっぱしつらいけど、うん。人間が成長するきっかけにはなるな。
[イチドウ]:オメエが成長してどーする。っていうか、「東京大学物語」じゃねえんだからさあ。どうせ、あれだろ、試験前に悪いことしてたからだろ。あ?
[サワムラ]:ううううう。あのマンガ、まじでトラウマ。あれ?でも、よく考えたらこれは教育じゃないな。いつの間にか話が「教える」の話になってたんだな。さて。教育に戻ると、だ。結局のところ、いけてる「先生」と「生徒」の関係が重要ってことだよな。例えばすげえ先生って、どんな先生だろ?
[イチドウ]:うーん。むじゅかしい。そうだな。例えば多くの人間が苦手な場面を切り抜ける方法とかを教えてくれるような先生がいたらうれしいなあ。例えば緊張をコントロールする方法とかさ。その分野分野で。
[サワムラ]:ちょっと抽象的だな。視点を変えてみよう。お前さ、新しい言語を勉強するなら、どんな先生がいい?
[イチドウ]:そりゃおめえ、そんなこと言わせるなよ。俺も言語教師なんだからさ。わかってるくせに。
[サワムラ]:じゃあ、言語じゃなくてもなんでもいいよ。えーと、じゃあ、国際経済学にしよう。どうよ?
[イチドウ]:やべえ、おねいちゃんしか思いつかねえ。あはは。
[サワムラ]:わかりやすいな。ちなみに俺の場合は、おねいちゃんは先生としてより、クラスメイトとして一緒にいたほうが、俺の教育効果が高いことが証明されている。まあ、要は、「生徒のモティベーションを高めてくれる先生」ってことで、お前はおねいちゃんがいいんだろ?
[イチドウ]:いや。俺はただ、おねいちゃんが好きなだけだ。
[サワムラ]:だから、好きなおねいちゃんに教わる方が、教育効果が高いって思うってことだろ?
[イチドウ]:俺はおねいちゃんが好きなだけだよう。。
[サワムラ]:日本語教育学者の任都栗新がさ。「3番目に効果的な教育方法を考えるのが、教育学だ。1番と2番はもうとられてるからな。分かるか?1番が体罰で、2番がセックスコントロールだ。」って言っててね。ハタチの俺は感激したね。
[イチドウ]:そりゃすげえ教授だな。なるほど、相撲取りが日本語うまいってのもそれにも関係してるんだろうな。色々言われてるじゃん。環境がどうのこうの。
[サワムラ]:ああ。大概の格闘技を極めた人はおだやかな人が多いらしいけど、相撲だけは例外的に凶悪らしいからな。外国人力士もそりゃあ、あっというまに日本語覚えるわな。結局のところ、体で覚えたモンが強いんだろうな。
[イチドウ]:体で覚えるかあ。やっぱりサリバン先生はすげえよな。ありゃすげえよ。
[サワムラ]:ああ。すげえな。ヘレン・ケラーがすごいって話ではなってるけど、あれ、本当にすげえのはサリバン先生だよな。
[イチドウ]: それに較べて俺らは、生徒が宿題をやってこないだの、テストの点が上がらないだの、やる気がないだの、すぐ諦める。全くもって、「何、言ってやがる。サリバン先生を見習え、うんこ。サリバン先生はなあ、目も耳も聞こえない子供を喋れるようにして大学まで生かせたんだぞ。」って、そういうことをいわなきゃな。教師なら。
[サワムラ]:そうだよなあ。がんばろう。あ、シュタイナーもすごいぜ。知ってる?シュタイナー?
[イチドウ]:教育学の人だっけ?
[サワムラ]:いや。教育とオカルトの中間みたいな人。青年時代には、学習障害の子どもの家庭教師をしてたらしんだけど、なんとその子ども、医学部に合格して軍医になるんだよ。すごくねえ?
[イチドウ]:すげえなそりゃ。学習障害の子が軍医って、なんだそりゃ。なんでオカルトなの?
[サワムラ]:そのころのキリスト教世界はさ。世界にひしめく精霊みたいなものを全部オカルトとして封印していたからな。そういうのに敏感な人は、やっぱりキリスト教の枠に疑問を感じるんだよ。で、飛び出たんだな。
[イチドウ]:でそのまま心霊現象とか電波系に傾倒していったってことか?もったいねえな。それほどの男が。
[サワムラ]:それがそうでもなくてね。自分自身は傾倒していくんだけど、人にはそれを薦めない、みたいな主義があってね。一生涯、「キリスト教中心、ヨーロッパ中心、白人中心は間違っている」みたいなことを講演しつづけて、結局ナチスにつぶされたよ。いや、たいした男だ。
[イチドウ]:そういやシュタイナー教育って聞いたことあるな。どんなことするの?実際。
[サワムラ]:手と体で学ぼう、みたいな感じ。創作活動みたいなのをよくやってて、最近の「個性重視」みたいな流れに合ってて、もてはやされたりもしてる。でも、いかんせんシュタイナーの思想はオカルト系だからな。宇宙の電波とシンクロするダンスとか、よりよく生まれ変わるための修行としての人生だとか、受け入れがたい、痛い部分もかなりある。シュタイナーが家庭教師やってたときに、ダンスをしていたはずはないと俺は思うんだけどね。
[イチドウ]:でもやっててほしいなあ。それよりさ、そういう微妙なところを削っていいところだけを使えばいいのにまったく残ってないのはなんで?
[サワムラ]:うーん。なんだろうね?シュタイナーはただただ、「自分で考えろ」って言いつづけてたんだよ。考えればナントカ中心主義はおかしいと、誰もがわかるはずだ、ってね。で、考えるためには練習が必要で…みたいな教育論を展開してたはずなのにねえ。どこでどうやってダンスになったやら。ダンスすると考えられるのかなあ?
[イチドウ]:みてみてえな、そのダンス。ちょっと踊ってくれよ。
[サワムラ]:こんな感じだよ。なんかね。キビキビしてんの。でね、こう、くるくるくるーってね。カワイイだろ?
[イチドウ]:ぶははは。最後のはぺんぎんかー?そんなん踊ってたら考えられなくもなるわい。オメエ、踊ってる時の顔、鏡で見たら、かえって来れなくなるぞ。ぽえー、っていう音がでてたぞ。ぽえー。
[サワムラ]:いや、小学生がこれ、踊ってたら超かわいいって。
[イチドウ]:っていうか、[サワムラ]村先生、それやってよ。小学校教師なんだからさ。で、ビデオにとってみんなで見ようよ。
[サワムラ]:先生でいられんのもあと数ヶ月だからなあ。ここらで職権、乱用しとくか。
[イチドウ]:あふぉ。先生はいつまでたっても先生だよ。
[サワムラ]:ああ、生徒にとってはね。でもさ。大人になった生徒にこれ、躍らせてビデオとるわけにはいかんだろ?
[イチドウ]:じゃ、その子どもにおどらせりゃいいじゃん。
[サワムラ]:そんなんゆうなら、お前の子どもにこっそりおしえこんでやる。けけけ。
[イチドウ]:じゃ、教えてるお前をこっそりビデオに撮ってやるよ。
[サワムラ]:それじゃ俺、こっそりじゃねえじゃん。まあ、教育の結果ってだいぶ先になんねえとわかんねえから、他のモノづくりと違って、気の長い話だよな。嫌いじゃないけど。
[イチドウ]:もの作りっていうか、人間作りだからなあ。ま、なんにしろ創作活動って難しいよ。
[サワムラ]:そうは言ってもさ。やっぱり俺は創作ってのは人間の本能だと思うんだよ。やっぱ作りたいじゃん。それが無くなるのって、老いを感じねえ?
[イチドウ]:ああ。だからピカソには老いを感じないんだな。モノ作り、しなきゃね。
[サワムラ]:モノ作りすんの、嫌になったことってある?


【2005/09/29 23:36】 カテゴリ:焚火トーク
サワムラ×イチドウ vol.5 「歌ったり喋ったり」
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[サワムラ]:うーん。じゃ。♪私は結果や成り行きが~ほぼ~つかめてからの~それに合うよ~な~自分のポリシー作りがとくいです~。(後略)♪
[イチドウ]:ははは。なんだっけそれ?すげえ自己分析だな~。大事マンだっけ?
[サワムラ]:真心ブラザーズだよ。♪俺のちんぽから石が出た!!(中略)体がどこも痛くないってこんなに気持ちがいいものか、全身に力がみなぎる、街がキレイ!!神様ってきっといるよ!!幽霊とUFOもいるに違いない!!(中略)俺は身体の中で石を作る男!!♪
[イチドウ]:ははは。最高だな~。そういう、細かい歌ってほかにある?
[サワムラ]:設定が細かいっていやあね、こういうやつ。♪仮面少しずらして、キスがしにくいわ、ああ、貴方いつでも、仮面はずさないの、あ~あ。♪
[イチドウ]:ああ、すかんちか。他にもあったよなあ?
[サワムラ]:♪僕は人間僕は人間僕は人間ぼくは人間!!ロボットじゃないよ~!!人間なのさ~!!♪
[イチドウ]:ああー。泣けてくるな~。やっぱり手塚治虫すきなのかね、ローリーは?
[サワムラ]:手塚もディズニーも好きっぽいね。あの音楽ジャンルは「ディズニーロック」なんだそうだ。本人曰く。
[イチドウ]:あれはどう?トニーは?
[サワムラ]:ああ。しくじった奴ね。♪受話器の向こう側でボス!!声を震わせながらボス!!♪
[イチドウ]:俺にもギター貸せ!♪コルトは俺のパスポート~、黒くて固いパスポート~、スタッッガリーの頭に~、コイツをブチ込んでやるさあ~!!!♪
[サワムラ]:行きたいなあ。アンダルシア。そういえば、中野俊正が「このCDに入っている曲は全部アンダルシアだ。」って評価してたCDがあってね。俺が最近よく歌ってるやつ。あれ?俺のコンサーティーナは?♪わ~すれてしまいたいなら黒ビ~ル、まどろみた~い、それじゃ赤ワ~イ~ン~♪
[イチドウ]:なんだっけそれ?ええと、ああ、ガレージシャンソンショーか。ああいう人たちは一体何をおもってユニット組んでるんだろうね。こういうのやらない?って聞くときに、メンバー探しがとてもきつそうだよな。
[サワムラ]:いや。類が友を呼ぶんだよ。でも、奇跡みたいな組み合わせのバンドとかっていいよな。やっぱ最高峰はアルフィーですか?
[イチドウ]:そうくるかね。一番信じられないのが、全員本名ってことだよな。あれはすげえよ。
[サワムラ]:はい。音楽についてはノーコメント、ということで。お前もなんか歌えよ。
[イチドウ]:♪周りは罠!周りは罠!!周り罠、周り罠マワリワナでぇ~!ガンジャがらめぇ~!! ♪
[サワムラ]:♪かっくせっい~ざいッはいッけまッせん、ま~やく~をやってはいッけまッせん、そ~れともに~んげ~んや~めま~すか、いえいえヤッパリや~めま~せん、それ、つ~いほ~!!♪
[イチドウ]:♪ついほ~♪
[サワムラ]:♪ついほ~♪
[イチドウ]:♪ついほ~♪いやあ、やっぱり、キヨシロウはすげえな。天才だな。言語センスが日本一くらいにすげえ。
[サワムラ]:キヨシロウのイマジン、きいたことある?感動だぜ。
[イチドウ]:どんなんだっけ?
[サワムラ]:♪ゆめかもしれな~い~♪ってやつ。夢とYou mayがかかってる。直訳ロックってそういやはやったね。
[イチドウ]:そういや、王様とか女王様とか色々いたよな。王女様も王子様もいたな。
[サワムラ]:俺様ってのがいたの、知ってる?
[イチドウ]:なんだそれ?
[サワムラ]:ツェッペリンとかディープパープルのギターソロをね、口で言ってるんだよ。マイクをエフェクターにつないで歪ませてね。♪みっみっみ~、みっみっみみ~、みっみっみ~、みっみ~♪とかやってんだよ。
[イチドウ]:よく発売できたな。
[サワムラ]:今でも手に入るんだろうか。っていうかアレは一体誰だったんだろう?俺だったって言ってもバレなそうだな。そういや、俺はザードのドラマーだったんだ、って主張してるやつに会ったことがあるよ。
[イチドウ]:おめえ、まだ、甘えよ。俺、ザードだからさ。
[サワムラ]:は?お前、ザードのギタリストだったの?
[イチドウ]:いや、俺がザードなんだよ。
[サワムラ]:?
[イチドウ]:いや、ザードていうのはバンド名じゃないんだよ。あれはザードっていう超巨大プロジェクトの名前で、そのプロジェクトに一瞬でも関わった人は既にザードらしい。CD買った人もコンサートに来た人も、全てザード。ザードだらけだ。
[サワムラ]:すっげえ。そっか。お前は?CD買ったの?
[イチドウ]:そりゃ、ザードですからね。
[サワムラ]:俺はギリギリ、ザードじゃないよ。ところで、女王様の正体は爆風スランプのパッパラー河合だったんだよな。爆風いいよな。♪雨をさけたロッカールームで、君は少しうつーむーいて、もう戻れはしないだろうと言ったねー♪
[イチドウ]:その歌さー、めちゃめちゃ歌詞がかっこいいけどさ、一度ゲイの歌だと思って聴いてみ?
[サワムラ]:♪かざりのない少年の心はひきさーかーれーて♪うわ。ほんとだ。何、これってそういう曲だったのか?気付いてる奴はどのぐらいいるんだ?
[イチドウ]:いやー、少ないだろう。他にはある?解釈面白いの。
[サワムラ]:うーん。これとかどうよ。♪目隠し鬼さん手のなる方へ、虚ろな目の色、溶かしたミルク~♪
[イチドウ]:「小さい秋か。」怖いなー、この歌。歌詞、きれいだけど怖え。どういう解釈?
[サワムラ]:いや、俺解釈だけど、多分この歌の「誰か」ってのはさ。入院してるんだよ。で、病室の窓から外を見てて、秋を見つけるんだ。なんか、すごい世界観じゃねえ?
[イチドウ]:おお。なるほど。絶対そうだな、だから虚ろで、ミルクなのか。そういや、「とおりゃんせ」もめちゃくちゃ怖いよな。
[サワムラ]:♪とーりゃんせ、とーりゃんせ~。(中略)行きはよいよい帰りは怖い、怖いながらもとーおーりゃんせ、とーりゃんせ~。♪
[イチドウ]:怖えなあ。一体どうして行きは良いけど、帰りは怖いんだろう、ってところが怖すぎ。♪とーりゃんせー、とーりゃんせー。♪(後略)
[サワムラ]:あれ?何これ、なんか転調してねえ?
[イチドウ]:へ?ちょっとまてよ。・・・。確かに始めたとこよりキーが下がってるな。なんで?
[サワムラ]:どこで下がってる?♪とーりゃんせ、とーりゃんせー(中略)この子の七つのお祝いにー、お札をおさめに♪
[イチドウ]:そこだあ!
[サワムラ]:ここかあ。お祝いってとこで下がるのか。なんて嫌なお札だ。
[イチドウ]:このキーって下がったまま戻らないよな?
[サワムラ]:ああ。このまま終わるね。ってことは…
[イチドウ]:曲自体も戻って来れない…。怖すぎ…。だから2回連続で歌うとキーが変わってたのか…。歌いつづけるとどんどん声が低くなるわけだ。
[サワムラ]:こんな歌信号の曲にすんなよなあ。朝からマジで落ち込むわ。
[イチドウ]:っていうか、すげえ悪意を感じるな。
[サワムラ]:今から会社に行って働こうって奴らに向かって「行きはよいよい帰りは怖い」かよ。歩くもんじゃねえな。電車に乗ろう。
[イチドウ]:しかし、かなり怖いなあ。やっぱり狙ってるのかな?
[サワムラ]:天神様って、菅原道真だろ?やっぱり、タタリのイメージは否めんな。日本人の一番苦手なところじゃないか?タタリってのは。それをなんとか克服しようとして、昔の日本の人々は、中国から最新の科学として仏教とか五行説とかをとりいれたんだし。
[イチドウ]:なるほど、そういう流れか。仏教といえばさ、「年々歳々色相似たり、歳々年々人同じからず」とか「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。」とか、こういう、方丈記に代表される無常観、俺大好きなんだ。
[サワムラ]:無常観か。俺は無常観はちょっと危険だとも思ってるんだよね。頭の悪い奴が無常観のことを誤解して、「人間なんてどうせ…」みたいな思想に行き着いちゃうことがよくあるような気がしてね。まあ、殺人がナイフのせいなんじゃないのと同じで、無常観のせいではないんだけどさ。
[イチドウ]:それさあ、ちゃんと方丈記読めよ、って感じだよなあ。武士がいつ死ぬか分からない、っていう状況で毎日頑張って生きてるから、無常観が生きてくるのに、なんもわかっとらんね。あ、ちなみにこれは俺の希望的観測であって、俺もちゃんと方丈記読んでないけど。
[サワムラ]:読めよ。で、俺に内容教えてくれ。
[イチドウ]:おめえも読んでねえのか。うん、でもきっとそういう思想に決まってるよな。決まり。
[サワムラ]:聖書とかコーランとかも、そういう希望的観測で読まれてて、やっぱりかなり誤解されて、現在に至るところがあるんだろうな。まあ、それはそれでおもろいからいいんだけど。
[イチドウ]:うーん。真面目に勉強します。でも、まあとにかく、「無常観」自体は仏教の[イチドウ]法印って言う教えの一つで、素敵な教えなんだ。ま、俺はその雰囲気が大好きでさ、それが漢詩に翻訳されてるんだけど、ほら、いろは歌さ、それをさらに日本語にしたものだといわれてるんだ。
[サワムラ]:へえ。翻訳なのか。それにしちゃすげえ完成度だな。世界一の詩じゃん?
[イチドウ]:俺もそう思う。もちろん直訳ではないけど、それでも元の漢文に一行ずつ完全に対応しているというのも凄い。でもさ、この歌の完成は大体十世紀頃らしいんだけどさ、俺が思うに、それ以前にもいろはうたが無数に存在したと思うんだよね。
[サワムラ]:実際に、いろは歌はいろんなのが残ってるよ。
[イチドウ]:まじで?勉強不足でした。
[サワムラ]:今でも作って遊んでる教授とかもいるぐらいだしな。干支をテーマに12個のいろは歌つくったり、友達の名前を行のはじまりにしていろは歌つくったり。面白い奴っているもんだなあ。
[イチドウ]:いるねえ。元気が出るよな、面白い奴を発見すると。ま、俺が言いたいのは、要は百人一首と同じで貴族のお遊びだったか、もしくは最高のいろはうたを見つけるまでコンテストがあったのかもしれないし。で、あまりに完成度が高かったので終わった、そんな感じかなあ。
[サワムラ]:人間業とは思えない、言語そのものが生み出した化け物みたいな完成度だよな。でも、実際はそれが人間業なんだ、ってところが、俺の泣きのツボだな。
[イチドウ]:サワムラらしいね。あの詩、作者が不明なところも、ミステリアスでいいよ。
[サワムラ]:日本語以外でも、音を全部一回ずつしかつかわないで詩をつくる、なんてことをやってる言語があるんだろうか。
[イチドウ]:聞いたことねえなあ。同じ漢字使わないで作った千文字の漢詩、とかはあるけどさ、音はねえ。意外にビサヤ語なんか、できるんじゃない?
[サワムラ]:できるかも。今度、超絶に暇なときにチャレンジしてみるよ。
[イチドウ]:たださ、アルファベットだからなぁ。固有の文字があれば、スマートに収まるんだろうけど。でも、どうしていろは歌を国歌にしなかったんだろう。世界一イケてる国歌になると思うんだけどな。「君が代」も悪くないけど。
[サワムラ]:いろは歌が国家か。それはいけてるな。君が代も「君」っていう言葉をふつうに二人称だととらえると、ラブソングみたいでいいよな。君が代は実際、歌としては質が高いと思うよ。
[イチドウ]:確かに。ラブソングが国歌な国はとっても素敵だな。「君のことを千代に八千代に永遠に苔の蒸すまで思っています。」うわあ、いいなあ。すげえ、すげえ。
[サワムラ]:短いから式も短くて済むし、内容もとげとげしくないし。ただ、右翼的なイメージがまとわりつきすぎちゃったところはあるな。最近の公立学校では、必ず式典の際には君が代を歌うらしいけど、バランスをとるためにも、「いんたあなしょなる」とかを式典の中でみんなで歌うってのはどうだろう。
[イチドウ]:凄いバランス感覚だな。そんな校長がいたら惚れるな。でもさ、国歌斉唱の前に、「この歌はラブソングなんです。」って教えてくれる校長も素敵じゃない?
[サワムラ]:君が代って、万葉集だっけ?万葉集だったら、マジで恋歌の線もありうるんじゃないか。
[イチドウ]:いや、君が代は古今和歌集だよ。だけど、江戸時代にはマジで結婚式の時に歌われてたらしいよ。
[サワムラ]:そういうところをうまくメディアにのっければ、もうちっとスムーズに君が代問題は解決しそうなのに、惜しいな。
[イチドウ]:やっぱり日本文化的には、これは恋の歌だって言い張るべきかね。
[サワムラ]:いや、いろんな奴が自分の意見を言い張りあって、けっきょく一番言葉に力がある意見に自然と落ちついていく、っていうのが日本的だと思うね。
[イチドウ]:言葉自体に力がある、か。日本文化の根底だな。
[サワムラ]:でもさ。言霊思想って、フィリピンにもあるべ。
[イチドウ]:ああ。そうそう。こないだフィリピン人と話してたときにさ、ちょっと口をすべらして縁起の悪いことを言っちゃったんだけどね。そしたら、「Simba ko pa layo」て、言うんだよ。あれ、日本で言うところの「変なこと言うなよ、縁起でもない」くらいノリだと思うんだけど、確実にフィリピンにも言霊思想的なもの、あるよね。
[サワムラ]:あるね。面白いことにさ、縁起の悪い言葉に対してだけじゃなくってさ、褒めちぎられたときなんかにも、「悪霊払い」のオマジナイがあるんだよ。褒められて浮かれているスキに、悪霊が入ってくるのを防ぐらしい。その悪霊ってやつがまた面白い連中でね。「女を淫乱にさせる」「既婚者に恋をさせる」「既婚者のことを好きにさせる」みたいな魔力しかもってねえんだよ。コミュニティーの中で、何があっちゃいけないことなのか、何を悪魔のせいにすることで、徹底的な仲たがいが生じなくてすむのか、ようわかっとるなあ、って思わねぇ?
[イチドウ]:なるほどね、徹底的な仲たがいを防ぐか。それも、「和をもって尊しとす」みたいな日本独自と言われてる思想に似てるね。しかし女を淫乱にさせる悪魔か。男じゃないところが色んな意味でいいなあ。妻をその宗教にいれよっと。
[サワムラ]:宗教は出たり入ったりするもんじゃねえよ。でもさ。言霊思想って結構ある思想なんじゃん?日本文化ってさ、「日本の文化は非常に珍しい、独特なものだ」って、必要以上に思い込みたがるところがあると思うんだよね。「日本語は世界一難しい」とか「敬語があるのは日本語だけ」とかね。どうしてこういうふう思い込みたがるんだろうね?
[イチドウ]:他言語習得が苦手だという劣等感を解消したいんじゃねえか?自画自賛することで。確かに、よく日本語よりも英語の方が簡単だとか、日本語は世界一難しいとか言う議論がされてるよなあ。あれは痛々しい。母国語習得の難易度にそこまで違いがあるんだったら、赤ん坊が言葉を喋れるようになる時期が異なってくるはずじゃねえ?そのくらい考えないのかね。


【2005/09/29 23:33】 カテゴリ:焚火トーク
サワムラ×イチドウ vol.4 「俺って音楽ファン?」
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[イチドウ]:俺、久石譲大好きなんだけどさ、サクラダファミリアの音楽を担当するって話、本当かなあ?
[サワムラ]:いいねえ。俺も海で船の上なんかで笛吹く時なんかは、ラピュタとか魔女の宅急便とかよく弾くし。俺は自分の持ってる楽器で弾きやすい音楽が結局のところ好きだからなあ。
[イチドウ]:でも難しい曲を弾くとかもそうとうすきじゃねえ?
[サワムラ]:好きすぎ。ケパ・フンケラとか、アイリーン・アイヴァースとかな。「シンプルだけどかっこいい」っていう曲と、「めちゃくちゃうまくてかっこいい」っていう曲があるな。でもやっぱ俺は自分が弾く楽器を中心に聴いてるな。お前は?
[イチドウ]:俺はギタリストだからなあ。やっぱりテクニック系のギターを弾く人は好きだし、そういうの聴いちゃうよ、時々。
[サワムラ]:俺、ギタリストじゃねえけど、テクニック系のギターは俺も好きだぜ。イングウェイとかだろ?
[イチドウ]:そうそう。スティーブ・ヴァイとかね。でもさあ。曲芸系のギターを馬鹿にする傾向があるけど、あれ、納得いかんよ。あれはサーカスと同じノリでものすごいと思うんだけどどう?エレキギターを弾いてない人から見て?
[サワムラ]:エレキギターを弾いてない俺から言わせてもらうと、「はやくて複雑」以外にうまさなんてわかんねえからよぉ。曲芸ギター以外は、みんな似たようなモンよ。
[イチドウ]:はは。そりゃ言いすぎだけどさ。リズムだけでもやばいくらいうまい人いるよ。ヌーノ・ベッテンコートとか。ドラムよりリズム感あるギター弾くよ。
[サワムラ]:想像つかんな。こんどかしてよ。ところでさ。一番はやいのって誰なの?
[イチドウ]:それに関しては色々言われてるけどさ。でも速弾きの歴史を終結させた、最速の男は意外に知られてないんだよな。
[サワムラ]:だから誰よ?
[イチドウ]:クリス・インペリテリって知ってる?因みにバンド名、インペリテリ。苗字だっつうの。
[サワムラ]:いさぎいいな、オイ。ってアレ?意外とそういうバンド、多くねえ?ボンジョビとか、ラモーンズとか。日本にもいるっけ?
[イチドウ]:だってさあ。俺が「[イチドウ]宅」っていうバンドやってたら分けわかんないでしょ。
[サワムラ]:ドラムの奴とかが「佐藤」とかだったりしたら、「[イチドウ]宅の佐藤です」とか自己紹介するんだろうか。痛い。
[イチドウ]:インペリテリも痛いんだろうけど、クリスが凄すぎるから他の奴ら知らんし。インペリテリのギターってやべえんだよ。
[サワムラ]:超絶技巧?
[イチドウ]:普通さあ、ギターの速弾きを口まねすると、「ぴろぴろぴろ」とか「どりゅりゅりゅるん」とかいう音がそれに近いと思うんだけどさ。クリス・インペリテリは全く違うんだよ。ほら、ファミコンとかでさ、敵を攻撃する時に「ずばっ」って音が聴こえるじゃん?あれ、どうやって作るか知ってる?
[サワムラ]:しらねえ。
あれ、短時間に音を大量に詰め込んでつくるんだよ。要は、はやびきを更に時間を縮めるとあの「ずぎゃぎゃ」と言う音が出来上がるんだけどさ、クリス・インペリテリは生身でそれが出来る男なんだよ。
[サワムラ]:ドラクエのダメージ受けた時みたいな音ね。
[イチドウ]:そうそう。音が音列ではなくて、塊として聴こえると言うか。「ずぎゃぎゃっ」てさ。いや、もちろんファミコンの効果音みたいなのは出してないんだけど、そんな感じに聴こえるってこと。”Stand in line”っていう1stアルバムに”over the rainbow” が入ってるんだよ。[サワムラ]:オズの魔法使いか。
[イチドウ]:そう。それ聴くと、確かに音が塊として飛んでくるのが分かる。あれは、戦争も終わるよ。あまりにも凄すぎて真似するのが馬鹿らしくなったんだろうな。テクニックがどうこうよりも、とにかく速い。それだけで、聴く価値があるよ。ロック・ギター小僧の世界って、テクニックが全てだからさ、技とか、凄いギタリストには敬称が付くんだよ。あれ、たまんねえんだけど。
[サワムラ]:ああ。「王者」とかそういうやつだべ?
[イチドウ]:「王者」イングウェイ・マルムスティーン!もっとも進化したギタリスト、スティーブ・ヴァイ。王者って。どこの王国なんだろう。
[サワムラ]:まあ、ムツゴロウだって王様だしな。結構王様って多いんよ。
[イチドウ]:確かに多いな。さらに、ロックギター界の伝説、エドワード・ヴァン・ヘイレン。神、マイケル・シェンカーとか?ただ、ネーミング、誰が考えてるのか知らないけど、かなりアフォでいいよ。でも、一番笑ったのは、「光速を超えたギタリスト、ポール・ギルバート」。音速を超えたら音じゃねえだろっていう。
[サワムラ]:そりゃあ相対性理論もビックリだ。って、ギターとか楽器以外では?どうよ?
[イチドウ]:好き嫌いの話?
[サワムラ]:ああ。そんな話。
[イチドウ]:俺、昔さ、一時期女性ボーカルしか聴けない時期があったんだけどなんでだろう。
[サワムラ]:お前はどんな女性ボーカルが好きなの?
[イチドウ]:うーん。一番初めはカレン・カーペンターだったかなあ。結構普通にアラニスとか、最近ではアブリル・ラビーンとかも意外に聴けるなあ。
[サワムラ]:そうか。さっきも言ったけどさあ。俺は、なんか、最近の女性ボーカルがわりと「けだるく」歌うのがカッコイイみたいな風潮がきらいでね。嫌なら歌うなよ。
[イチドウ]:はは。ビョークとかはどう?
[サワムラ]:どうもこうも、そんな奴知らんよ。なんか、暗い映画で騒がれてたよな。あれ、騒いでた連中は本当にビョークって奴のことを知ってたのか?どうもそうは思えんのだが。
[イチドウ]:知らんでしょ。あの映画でビョークを知った奴が大半だと思うよ。音楽ファンじゃなけりゃ知らんよ。
[サワムラ]:音楽ファンか。…俺って音楽ファン?
[イチドウ]:お前は楽器ファンじゃねえか?
[サワムラ]:ああ、そうか。楽器ファンの集合は、音楽ファンの集合に包括されないのかな?ハミデル奴っているのかね?
[イチドウ]:いや、普通はハミデないんだけどさ。お前はハミデル。
[サワムラ]:やっぱしそうか。何気に俺、知ったかぶりで話あわせてるけど、洋楽とか全然しらねえしなあ。っていうか、「洋楽」って言葉が、明らかに音楽ファン用語じゃねえよな。
[イチドウ]:確かに、音楽の歴史みたいなのをある程度理解してロックやら最近の音楽やらを聞いてる奴は、「洋楽」って言葉、使わないな。
[サワムラ]:じゃあさ。俺が音楽ファンじゃないとするとさ。他の人たちは、どんなふうに音楽を楽しんでるわけ?
[イチドウ]:難しいこと聞くなあ。お前の楽しみ方って、どんなん?
[サワムラ]:そりゃあ、音楽聴いて、楽しいやつおぼえて、みんなで島行ったときとかに、一人イッコずつ楽器もって、演奏しながらさわぐ、みたいな感じかな。
[イチドウ]:みんなとは、明らかにチガウな。そうだなあ、普通は、楽器をやっていない人で音楽ファンという言葉が当てはまるのは、古今東西の色んな音楽を聴いてて、そのなかで独自のセンスで音楽を選んで、それを人に薦められるような人、じゃねえか?ああ、わかった。ターンテーブル持ってないDJみたいな奴?邪魔でしょうがねえな。
[サワムラ]:買えよ。ターンテーブル。なるほどなあ。好きなのに鑑賞するだけで、しかも人に押し付ける奴な。サッカーファンとか、映画ファンとかも概ね同じ説明で説明つくな。じゃあ、俺、楽器ファンじゃねえじゃん。俺、何ファンだろ?
[イチドウ]:自分ファンじゃん?
[サワムラ]:うわ。痛ぇ。それって、自分好きでありながら、自分をちゃんと生きようとせず、そのくせ人に俺を好きになれ、って薦めてるやつか。
[イチドウ]:すまん。俺だ、それ。
[サワムラ]:やめませんか。この話?
[イチドウ]:そうしますか。じゃあ、好きなジャンル!
[サワムラ]:えせヨーロピアン!
[イチドウ]:おまえさあ。いきなりそれはないよ。・・・。じゃ、俺はまともにー。アンビエント。
[サワムラ]:アンビエントとか、意味範囲広すぎだろ。エンヤもエニグマもディープフォレストも宗二郎も姫神もアンビエントだろ?もっとピンポイントでこいよ。
[イチドウ]:じゃ、ピンポイントの極みを見せてやろう。映画で主人公とヒロインが走ってきて抱き合う時にかかるような音楽も好き。
[サワムラ]:合格。やればできるじゃない。じゃあ俺はねえ。ドンチャン騒ぎな音楽。
[イチドウ]:なるほど。ああ。こういうのもすきだわ。人をバカにしてる音楽。
[サワムラ]:俺は人を馬鹿にしてる音楽はきらいだなあ。でも、バカを馬鹿にしている音楽は好き。
[イチドウ]:何を言ってるかは、まあ分かるけどな。パンクとか好き?
[サワムラ]:ワカゲのイタリで好きだった、って感じかな。ブルーハーツが大好きでさ。俺。で、音楽雑誌とかでブルーハーツはパンクの影響を受けている、みたいな文を読んで、俺もパンク好きになろうとか、少年は思うわけだ。で、セックス・ピストルズを借りてきて聴くんだけど、全部同じにしかきこえねぇんだよ。まあ、英語わかんなかったから当たり前なんだけど。でも、建前では「パンクロック好き」って言ってたなあ。ポップスを馬鹿にする、っていうかね。
[イチドウ]:ピストルズが出てきたときには、あの音は、当時はそうとう暴力的だった筈なんだけどさ。今聞いてみるとさ、カワイイよね、音。ぺけぺけしててさ。っていうかかなりキュート。
それでもあいつは凄いけどな。シドは。
[サワムラ]:俺も本読んで、シドとかマルコム・マクラレンとか、かっこいいなあって思ってたよ。でも、音楽は実際そうでもなかったな。ま、それまで聞いてた音楽がさだまさしだしな。ちょっとギャップがでかすぎた。
[イチドウ]:ああ。でもさあ。今になってみるとさ、共通点とかかなりあるよなあ。っていうか、同じ魂を感じる。言い過ぎ?言い過ぎ?
[サワムラ]:あるね。同じ魂。なんだ、昔の俺、センスいいじゃん。結構ネタで当時から、「好きなミュージシャンはピストルズとさだまさし」って言ってたもん。俺。いまになってやっと本当にそう言えるよ。
[イチドウ]:ああ。分かる分かる。っていうか、面白いんだよ。単純にさ。あんな大人面白すぎだってば。さだもピストルも。
[サワムラ]:お前はこんなふうに、背伸びで音楽を聴いてた時期とかない?
[イチドウ]:ありまくりだよ。ギター始めたこと自体がそれの一部みたいなもんだしな。
[サワムラ]:背伸びで聴いてて、その後好きになった音楽じゃなくて、結局すきになれなかったのもあるでしょ?例えば俺はソウルがだめだった。
[イチドウ]:ああ。だめなのわかるわ。俺は単純なとこで現代ジャズ?意味わからん。
[サワムラ]:わからんね。正直、坂本龍一がダメ。俺。
[イチドウ]:ははは。でもさあ。やっぱりセンスが追いついてないのかなあ、リスナーの。いやさ、音楽の大部分はテクノロジーの発展によってるって坂本龍一、言ってるるんだけどさ。
[サワムラ]:まあ、俺が音楽センスあんましないことは、重々自覚してるよ。
[イチドウ]:うむ。よく分かってるな。っていうか、お前の趣味はありえねえよ。ゴスロリの人とか馬鹿にできる立場じゃねえよ、お前。
[サワムラ]:悪趣味の何が悪い!みたいなノリね。
[イチドウ]:そうそう。お前が聴いてる音楽は自己主張強すぎなんだよ。
[サワムラ]:自己主張が弱い奴の音楽を聴きたがるやつらの気が俺には知れん。だって楽しいじゃん。そんな奴。
[イチドウ]:キャラだね、音楽そのものじゃなくて。音楽を通して、お前は人を見てるんだよな。高山征治も、「自分がロックやアートを好きなのも、それをやっているのが人間であるからに他ならない」って言ってるし、まさにそのとおりなんだけど、俺が言ってるのは音楽そのものの話よ。
[サワムラ]:ああ。確かに俺は音楽をやっている人と、楽器ばかり見て、音楽そのものは見ていないといわれれば見ていない気がしてきたよ。
[イチドウ]:ほら。俺とかさ、音自体に結構こだわってる気がするのね。メロディーとか曲だけじゃなくて。そういうのないよな?
[サワムラ]:ああ。ないね。
[イチドウ]:うん。なんかさ。残虐な音質って言うのがココ二十年くらいの流行りだと思うんだ。
[サワムラ]:あああ。マジそういうの興味ねえわ。俺。だからグランジとかがまったくこないんだな。
[イチドウ]でも気持ちいいんだよ。残虐な音質ってのはさ。リンプビズキットの3rdアルバムなんかを聞くと相当な攻撃力を持ってたんだけど、そのときに思ったのがさ、でも結局どこまで行ってもニルバーナを越えられないってことなんだよな。スウェードなんかも同じ匂いを感じるけどさ。音は全くヘビーじゃないのに、なんなんだろうあれ。
[サワムラ]:なんだろうね。音楽の攻撃力ねえ。俺はあんまし音楽に攻撃力はもとめてないんだけど、攻撃的なのに攻撃力のない音楽は、あちゃー、って思うね。
[イチドウ]:なるほどね。ま、結構攻撃力ちゃんと強いのもあるよ。コーンとかナインインチネイルズとかかなり変態的なんだけど、どれでも、”Smells like teen age spirits” の方が暴力なんだよな。
[サワムラ]:うーん。
[イチドウ]:例えて言うならさ、HR/HM以降のロックは爆弾の威力が増していくかんじなんだけど、グランジに求められたのは生身の暴力というか、人間臭さ、レイプにつうづる暴力性。なんか比べられるものじゃないのかも。
[サワムラ]:ああ、要は暗い攻撃力ね。ああいうのは、どういう気分のときに聴きたくなるの?レイプしてぇーっていうときに、そういうのを聴くと、すっげぇやる気になるのかな?それとも、欲求が満たされて、犯罪が減るかね?
[イチドウ]:実はさ、カート・コバーンが“rape me”って曲を作ってるんだけど、アメリカには全米レイプ協会みたいのがあってさ。
[サワムラ]:それ、レイプする人たちの団体?なわけねぇよなぁ?
[イチドウ]:なわきゃねえだろ。で、その曲の収益を団体に寄付しようとしたら、断られて、かなり嘆いてたよ。「俺はレイプを憎んでるのに、協会はそれを理解してくれない。」みたいな事をいってた。でもタイトルは“rape me”。
[サワムラ]:なるほど。作る側は、減らす気なのね。実際はどうかね?
[イチドウ]:どうだろうねえ。ニルバーナに関しては何しろ、マスコミに「お前らは聴衆を馬鹿にしてる。」と言われた時に、「聴衆が俺らをバカにしてるんだ。」と言ってのけたやつだからなあ。
[サワムラ]:いいねえ。へらず口。ロッカーの鏡だわ。日本だとそのレベルにいるのは忌野清志郎とかかな。あの人はほら、「覚醒剤ぼくめーつ」とか歌ってるじゃん。すっげえ気持ちよさそうな目をしながら。ああいうのはどうだろう?覚醒剤やるやつはあれで増えるのか否か?
[イチドウ]:うーん。あの歌を広めてみないことには分からんね。
[サワムラ]:村上春樹がエッセーで書いてたんだけどね。日本には無駄な標語が多すぎるって。「世界人類が平和になりますように」っていうクイみたいなのがよく立ってるじゃん。あれを見て、「世界人類が平和になるためにがんばろう!!」って思う奴は絶対にいない、っていうんだ。
[イチドウ]:いや、だからさあ、覚醒剤をやってるやつだったら、思うんじゃねえ?看板見て。
[サワムラ]:君ねえ。そういうこといってるから、懲戒免職になるんだよ。
[イチドウ]:こらこら、ウソは良くないよ、ウソは。
[サワムラ]ふふふ。「そういうこと」が何をさすか、だな。来年の入試に出るぞ。って、話を戻すとね。音楽がさ、よくメッセージ性とか暴力性とか、そういうもので、もてはやされたり、発売禁止になったりするじゃん。俺はさあ、思わないわけよ。音楽のメッセージとかで世界が変わることはない。音楽を奏でている間はケンカとか戦争とかできないから、それで変わっていくものもあるといえばあるんだけど、っていうか、そこが俺は大事なところだと思うんだけど、内容云々の話は、どうかと思うね。
[イチドウ]:だからさ、やっぱりいくらマイケルが”heal the world”とか言っててもね、あれじゃ、世界は癒されませんよ。
[サワムラ]:え??いやされないの??ビデオクリップではいやされてたよ?世界。ゾウとか生き返ってたし。俺はあの映像には力があると思うけどなあ。
[イチドウ]:いや、力はあるんだけどね。マイケル本人の資質の方が強力。
[サワムラ]:やっぱり宇宙人が攻めてきたときの地球代表は彼かね?
[イチドウ]:そうだなあ。宮崎駿の「光」と「闇」じゃないけどさ、マイケル、人間のいいとこと悪いところ、分かりやすく体現してる人だよね。っていう意味でも人類代表。
[サワムラ]:マイケルをもちださないと、人間の素晴らしさやダメさが分からないようなバカな宇宙人には、さっさとお帰り願いたいがね。
[イチドウ]:ま、ダンスも歌も世界一くらいに上手いし、宇宙人も喜んで帰っていくんじゃねえ?
[サワムラ]:やっぱり世界一ですかね?
[イチドウ]:世界一歌が上手いのはだれだ、という話をする時に、暗黙の了解で話に出さないのがマイケル・ジャクソンなんだけどさ。だって間違えなく一番上手いもん。
[サワムラ]:でも、それ以外のことで有名だよな。俺、まじでそういうの憧れるんだけど。
[イチドウ]:君ねえ、発言に気をつけたほうがいいと思うよ。
[サワムラ]:あ。しまった。俺、今、小学校教師じゃん。というわけで、この話もナシ。
[イチドウ]:なしね。
[イチドウ]:ま、歌が上手いというとはっきりしないんだけど、テクニックが凄いというの以外に、よく分からんが妙に気持ちいいというタイプの歌ってあるじゃん。声が良いだけじゃなくて、なんと言うか、音として聴けるということなんだけど。さっきも言ってた音質ってやつ。たとえばトム・ヨークなんか大好きなんだけど、歌が上手いというより、「いい」んだよね、単純に。ビョークとか、アラニスなんかも大きく分けるとそっちに分類されると思うんだけどさ。あとカート・コバーンに関しては明らかにそっち。
[サワムラ]:アラニスとかカート・コバーンはいい声してるね。あの人たちはしゃべる時もあんぐらいかっこいい声でしゃべるんだろうか。
[イチドウ]:両方とも聴いたことあるんだけど、カート・コバーンはかっこよかったよ。アラニスのしゃべりは普通、っていうか可愛い感じでしゃべる。
[サワムラ]:いや、そういうことじゃなくてさ。実際に一緒にしゃべったら、どんな声なんだろう、ってこと。実はさあ。友達としゃべってるのを録音して、あとで聞いたことがあるんだけどさ。みんな、自分の声が自分の声じゃないみたいだとかいうじゃん。俺は、みんなの声も、話してるときとは違うじゃん、と思うんだよ。なんていうかさ。その場でいっしょにしゃべってるときに聴いている音は、あとでそれを録音したものを聴いたときの音とは、なんか、違うと思うんだよ。だから、俺はよく友達の声を忘れるんだ。っていうか、久しぶりの奴から電話がかかってきて、「俺だけど」みたいなやつが、さっぱりわからん。
[イチドウ]:「俺だけど」、っていうの俺も言われた経験なんどもあるんだけどさ、一回ね、返事に「俺も、俺だけど。」って言ってみたことがある。はは。俺もわかんねえよ。それ。
[サワムラ]:電話は特にわからんな。アラニスから電話がかかってきて、「アタシだけど」っていわれたら、わかるかなあ。わかりてえなあ。
[イチドウ]:そういう声の持ち主が歌手であるべきだ、っていう願望ね。
[サワムラ]:そうだな。そりゃあもう、是非歌手になってもらわなきゃな。ってことは、俺の友達は歌手になるべきじゃない奴だらけだな。楽器をやるべきだ。
[イチドウ]:そういうことになるな。ボイストレーニング行く前に、人に電話を、っていうかさ、ボイストレーニングの事務所に電話した時点で、採用か不採用か告げられるべき。
[サワムラ]:そうだな。俺のところにかかってくる電話にはそう答えるようにするよ。
[イチドウ]:ひどいこと言ってるなぁ、俺ら。よし。じゃ、:オメエなんか歌うたえ。判定してやるからさ。ギターあるぞ、ほれ。


【2005/09/29 23:30】 カテゴリ:焚火トーク




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